44.残念な奴 ページ44
A「…カハッ…ゴホッゴホッ」
桃太郎「鬼灯様!!やめて下さい!!」
鬼灯「私は誰に何と言われようとやめませんよ。
こんな屈辱は生まれて初めてなんです。
動けなくなるまで、見るも無残な姿形にしてやります」
ゴッ
A「ゲホッ…」
鬼灯様は金棒でひたすらAさんの全身を殴り続ける
返り血を浴びても
Aさんが吐血しても
Aさんの骨が折れる音が響いても
顔色を一切変えず、冷たい眼差しを向けたままAさんを痛めつける
そんな状況を止めようとしているのは俺しかいない
桃太郎「座敷童子も鬼灯様を止めようとは思わないのか?」
一子「Aさんはそれを望んでいないの」
二子「だから止めちゃいけないの」
桃太郎「何言ってるんだよ…閻魔様もなんとか言って下さいよ」
閻魔「一子ちゃんと二子ちゃんの言う通りだよ。
Aちゃんは桃太郎君に、ワシらに助けを求めているかい?」
桃太郎「…いいえ。俺達には見向きもしないです」
閻魔「AちゃんはAちゃんなりに、鬼灯君と向き合っているんだよ」
桃太郎「でもやられっぱなしですよ!?」
閻魔「Aちゃんが良かれと思ってやったことの意味に鬼灯君は気づかなかった。
だから鬼灯君にとって、Aちゃんは嫌がらせをした人でしかないんだ。
罪悪感があるんだろうね。Aちゃんは最後にその責任を取ろうとしているんだよ。
鬼灯君は怒りを行動で表して発散するタイプだから」
桃太郎「そんな…あと、最後って…何ですか?」
閻魔「Aちゃんが現世に帰っちゃうんだよ」
桃太郎「え?…何の事ですか?」
A「…グッ…うっ…わぁ〜…」
鬼灯「まだ喋れるとは」
「Aさんごめんなさい」
鬼灯「私の攻めが足りませんでしたかね?」
「本当はこんな事したくないのに」
鬼灯「手加減をしたつもりは無いんですが」
「Aさんには感謝してもしきれないのに」
鬼灯「こんな程度で済むと思うな!!」
意識が朦朧とする
鬼灯の話の合間に見る世界は走馬灯か?
いや違う
これは現世の私が見る世界だ
死にかけて地獄に来たから
死にかければ現世に戻るのか
立つことも歩くことも困難なのは、足の骨がどうにかなってしまったのだろう
不恰好になりながらも鬼灯様に歩み寄り、歪んだ両手で鬼灯様を抱きしめる
A「自身はあったんだけど…救えなくてごめんなさい。
大丈夫。恨んでないから。ただただ君を愛してたよ」
2014.10.7
73人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼灯の冷徹」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2014年8月5日 15時