23.散歩 ページ23
白澤様はともかく、鬼灯様が大人に戻ったらきっと厄介なんだろう
だから買い物に行くと嘘をついた
しかし、買い物しようと門まで出かけてきたのはいいが
初任給をもらってない私には金がない
財布を忘れて愉快になれるのはサザエぐらいだろう
私は今非常に焦っている
今店に戻ったらみんなに笑われるんだろう
おまけに子犬にでも笑われてしまったら、いい天気とか関係ない
桃太郎さんは「買い物はどうしたんですか?」って絶対に言うんだろうな
「間抜けですね」とか「Aさんって意外とバカですね」とか見下されるのも嫌だし
簡単に「何やってるんですか?」とか「何がしたいんですか?」とか突っ込まれるのも癪に障る
調子に乗った白澤様と桃太郎さんで「いやぁ〜ねぇ〜」「これだから最近の若い子は」とか小姑みたいにつつかれたらと思うと胃がキリキリと痛んだ
師匠の白澤様は知識の泉だからまだいい
妖怪や漢方など多くの事を教えてくれた
でも、突っ込むしか能のない桃太郎さんを私は兄弟子だと認めていない
だから桃太郎さんに言われると、私の高いプライドが大いに傷ついてしまう
すべて私の想像でしかないのだが
現実味を帯びているから気分は晴れず、横なぐりの雨に打たれている
A「散歩だ。私は散歩に出かけたんだ」
目的を変えれば現実から逃避ができる
門まで来たが、牛頭さんと馬頭さんは元気にしているだろうか?
興奮から取り乱してしまったことをまだお詫びできていない
菓子折りを持っていないがちゃんと挨拶しておかないと
A「牛頭さん 馬頭さんこんにちは」
二人(匹?)は武器を私に向け、闘争心をむき出しで私を睨みつけている
あぁ…その目は見覚えがある
本当に悪いことをしてしまったんだな
A「私はもう牛頭さんと馬頭さんに興味はありませんよ。白澤様が全部教えてくれました」
牛頭「あら…そうなの?」
A「お二人に会えたのが嬉しくて、迷惑をかけてすみませんでした。だから武器を下してもらえませんかね?」
馬頭「解剖はしないのね?」
A「もちろんですよ」
その後の二人は何事もなかったかのように私の話し相手をしてくれた
酷いことをしたのにすごいなぁ…
妖怪より人間の私の方が醜いや…
2014.8.23
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2014年8月5日 15時