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21.モルモット:壱 ページ21

「ゴホッ…ゴホッゴホッ」

「大丈夫?」

「ゴホッ…たぶん…」

「今日は何した?」

「僕は何も…苦いクッキー食べただけ…オエッ」

たぶんそれだよ

子供の好きなおやつに薬を盛るとかありえない

「いつ食べたの?」

「1時間ぐらい前」

「どこが痛い?何か症状は無い?」

「頭が痛い。あと…寒い…」

「私の毛布を使っていいから。今日はもう寝なよ」

「ゴホッ…ありがとう」

この子は副作用が激しく出ている

「いいよ。おやすみ…ゴホッゴホッ」

私はまだ副作用が軽いようだ

「私明日は注射するって…痛いし…怖いよ」

「いいよ。私が代わりに行くよ」

「でも…」

「私の代わりに、その子と一緒に居てあげてよ」

さっきから息が細くなっていく一方なんだ

最後まで一人なんて…可哀想だから

注射は痛くない

むしろその後

全身を焼かれるような灼熱感

身を引き裂かれているかのような激痛

なのに、見慣れたこの薄暗い空間が楽園のように見える

どんな薬を打ったんだよ

「大丈夫?」

「私は大丈夫。あの子は?」

「ずぅ〜っと起きないの。寝たままでどんどん冷たくなっていくの」

「アハッ…」

まただ…また救えなかった

「アハハハハ」

笑いたいんじゃない

哀しいんだ

「アハハハハ」

なのに能天気になってしまった私の脳は、私に笑う行動しか起こさせない

人の感情を奪うなんて

いや、私はもう人ではないのかもしれない

「なんで泣いてるの?」

「…え?」

「だって、ずっと涙が止まらないから」

頬を触れば確かに濡れていた

私はまだ…

いや

彼らは私達を人として見ていない

人として扱っていない

所詮私達はモルモットなんだ

元から人であるはずがないんだ

「これ今日のおやつだって。食べよう?」

だから休む間もなく生体実験が続けられる

「も〜らい」

「あっ!!?ずるい!!」

気付いてよ

このおやつのせいであの子は死んだんだから

「あなたの分をもらっていい?」

その子はもう答えられないから

「その子の分は無いよ」

その子は何日も前に亡くなってるから

「じゃぁ私の分が無いじゃない!!」

君に盛られる薬も

君に打たれる注射も

「そんなのどこにもないよ」

そんな生体実験は全て私が代わりに受けるから

辛い思いを絶対にさせないから

だから…そんな目で私を睨まないでよ

「絶対に許さないから!!」

どうしてわからないの?

どうして私だけ理解できるの?
2014.8.19
くるりんごの「モルモットと傭兵」より

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設定タグ:鬼灯の冷徹 , ハンジ? , アニ   
作品ジャンル:ギャグ
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年8月5日 15時

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