’５ 昔話 ページ7
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メイドたちが住まう塔の自室へと着くと、メイドたちは一気に口を開き始めた。
「ね、ねぇ、大丈夫なのかな、私たち。」
「人間の事に関してはフェリお嬢様たちに知ってほしくなかったのに...。」
「外部に漏れたら真っ先に私たちが疑われるよね、嫌だよ〜。」
塔内は騒がしくなる。
だが、皆自分の事が心配でたまらなかったのだ。
騒音など気に留めている場合ではなかった。
悪魔にとって「人間」というのは恐怖の対象だったのだ。
何百年も前、人間の住む国では悪魔は恐ろしく、人を恐怖に陥れるものとして弊害とされていた。
その為、国から少し離れた悪魔の住む小さな集落は人間に攻撃されたのだ。
悪魔たちは沢山殺され、沢山苦しんだ。
そして人間を恐れ、憎むものもいた。
しかし憎み、反抗して人間を滅ぼそうとしたものは皆死んでいったのだ。
殺したのは人間ではなく悪魔だった。
反抗すれば圧倒的に人数の少ない悪魔は絶滅すると思ったのであろう。
容赦なく磔にして殺していたのだ。
そして幾度となく隠れていた森を人間たちに焼き払われ、無残に家を壊され、
何年もこの世界を彷徨い続けて、悪魔たちは悪魔をまだ恐れていない場所へと辿り着いた。
そしてその場所の近くの森に住み、大きな屋敷を立てて住んだのだ。
悪魔に生まれたもので生き残っていたのはこの屋敷に住んでいるものだけなのだ。
だが、今もなお人間に反抗しようとするものは何が起こるか分からない。
その反抗がきっかけで命を落としたものもいる。
それほど恐ろしい情報が自分の耳にも渡り、
その事を敬愛する少女が反抗したとなったら恐ろしいに決まっているだろう。
メイドたちはその状況に今震えているのだ。
だが、話を聞いていなかったメイドの中で唯一怯えていない者がいた。
茶髪の大きな翼の悪魔、リィだ。
リィはメイドを長く勤めており、この屋敷が出来た当初からいたが
その容姿は年齢を感じさせない程若かった。
「皆さん、そろそろお話はやめに致しませんか。」
リィは口を開き、凛とした声でそう告げた。
他のメイドたちはその声に方を震わせる。
「お喋りが過ぎるとメイド長に怒られてしまいますわ。
この前お叱りを受けたばかりでしょう？」
「そ、そうだよね。そろそろ寝ないとね。」
メイドたちはわざとらしい笑顔でそう言いながらベットへと入る。
そして夜の見回りをするメイドは塔から出た。
そして屋敷内は深夜の静寂に包まれたのであった。
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