’11 見なければ気付かなければ ページ14
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あれから少し経ち、フェリたちはエメと離れて行動する事になった。
村に近づかない限りは自由に動いて良いそうだ。
「ねぇ、シヨン。」
「んー?なぁに?フェリ。」
姉から少し離れたところで村を見ていたところを、
フェリはシヨンに話しかけられる。
「あれ、何だろ。」
「んー?」
フェリのほうを見ると、何かを指さしていた。
何か赤い、ぐちゃぐちゃなもの。
「よく見えないの。」
シヨンはその先を見ると、目を大きく見開いた。
フェリの指の向こうには...
「え...。あれって、あれって、...。」
同じ種族の悪魔の無惨な死体があった。
真っ赤な虚ろな目と、血が垂れてきている半開きになった口。
腹の部分は血塗れになっており、腕は痣だらけ。
翼と角は折れていて、顔にはべったりと赤黒い血が付いていた。
「シヨン、何が見えたの?私なんだかよく見えないの!ねぇ何が見えたの?」
フェリが無邪気に手をバタバタさせながらシヨンを問いただす。
だがシヨンの視線はその光景から離れなかった。
初めて見た光景。
視界は赤でいっぱいで、見慣れない何かが赤い液体を流しながら倒れている。
あまりにも衝撃的なその光景に、シヨンの喉からは掠れた声しか出ない。
足は棒が刺さったみたいに動かない。
今すぐ姉を呼びに行かなければならないのに、動かないのだ。
「フェ...リ...。姉、さんを、呼んで...。」
「え...?...ねぇ何が見えたの?教えてってば!」
フェリがこちらを不思議そうに見ながらそう言う。
だが、シヨンは残酷なその光景を見せることなんて出来なかった。
「いいから!!とっとと呼んでこい!お前は絶対にこの先を見るな!早く行け!」
「わ、分かったよ。もう、シヨンのばーか!」
フェリが舌を出してから姉のいるであろう方向へと走った。
...
ここで二人がこの光景を見なければ、
全てが打ち砕かれる事はきっと無かった。
悪魔たちが絶望を味わうことも、家族の平穏な日々が壊れることも無かった。
だが、回り始めた針は止まる事を知らなかったのだ...
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ふぅー...かっこつけちった☆
なんか18フラグつけたらエッツィな広告出るんだが。
当たり前か☆
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