第一章[すべての始まり] ’0 詮索 ページ2
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深い森の奥、誰にも見つからないような森の中に
ひっそりと佇む大きな屋敷があった。
その館には悪魔の持つような大きな角が生える家族が
人に見つからないように何百年も住んでいるのだ。
だが、悪魔たちは毎日が幸せだった。
家族がいて、悪魔たちは人間を恨むことなく生きることが出来たのだ。
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−屋敷−
「お父さん、お母さーん!」
金髪の少女と少年が親であろう人物に駆けよる。
「こら、シヨン、フェリ。家の中は走っちゃ駄目よ。怪我するでしょう?」
「そんな事より聞いて聞いて!私ね、シヨンより早く飛べるようになったの!」
「僕はね、フェリよりも呪文を多く覚えてるんだ!」
母親からの注意をものともせず、
二人の子供が目を輝かせながら子供らしい自慢をしている。
母親は呆れていたが、父親はそんな様子が随分と可愛らしいようで、
頬を緩ませていた。
「はは、凄いな。二人とも。早く飛べるのも、呪文を沢山憶えれるのも良いことだ。
二人は大きくなったらそれを人間の為に使うんだよ。」
笑いながら父親はそう言う。
すると、二人の子供は不思議そうな顔で父親を見た。
「ねぇ、パパ。にんげんってなぁに?私見たことないの。
にんげんってどんなものなの?」
フェリがお下げを揺らしながら不思議そうにそう問う。
シヨンも頷きながら興味津々そうに父親を見つめていた。
父親は一瞬だけ困ったような顔をしてから
再び笑顔に戻してこう言った。
「人間っていうのはね、僕達悪魔を救ってくれた優しいものなんだよ。
だから僕達も恩を返すために人間を守らなければいけないんだ。」
目を細めながら父親はそう言った。
その目はどこか恐怖で溢れていて、
まるで「これ以上詮索するな」と言っているようだった。
「そうなんだ...。」
シヨンとフェリはその目に怖気づいたのか、
それ以上何も言わなかった。
フェリは少し震えていたくらいだった。
そんな様子を見てか、空気を変えようと母親が口を開こうとした時だった。
「屋敷の皆様、お夕飯の時間です。」
メイドたちの声が広い屋敷に鳴り響いた。
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スクレ・ディアブル
secret・diable
屋敷の主の妻
シヨンとフェリの母親にあたる存在
ファクティス・ディアブル
factice・diable
屋敷の主
シヨンとフェリの父親にあたる存在
リィ
rii
屋敷のメイド
几帳面
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