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この男、よくこの状況で寝られたな。と一周まわって感心する。私が先に呼んでみたが、やはり扉は出現しない。【呼びあえ】という指示なのであとは斉藤くんが私の下の名前を呼べばいいのだが、
それが出来たら苦労しないよなあ。寝息を立てる斉藤くんに小さくため息をついた。まぁ、急ぎの仕事も入っていないし、なんなら合法で休暇が取れるので、斉藤くんが相手なら一日くらい我慢できる。あくまでこれは目安。早く出られることに越したことはない。
『…終くん、無理はしなくていいからね、自分のペースで何とか、』
「…《お気遣いありがとう》《少しだけ待って欲しいZ》」
斉藤くんに言われた通り待つことにした。本人は少し心を落ち着かせると言って瞑想を始めた。基寝た。ていうかおい、最後に余裕が見えてんぞ。
数十分程したが、斉藤くんは起きない。え、これ爆睡コース?大丈夫?不穏な空気しか感じられないよ??起こした方がいいやつなのこれ、どうするの?
頭の中で葛藤が起こる。眠り続けている斉藤くんを起こすか、自身で起きるのを待つか。もし今寝ることで落ち着かせているのなら起こしては無駄になる、ということでやっぱりそっとしておくことにした。
その後、数分後に視界の端で斉藤くんが揺れ動くのを捉え顔を上げる。どうやら起きたようだが、心の準備、喉の準備は整ったのだろうか。
『ん、呼べそう?』
立ち上がった斉藤くんに合わせて立ち上がりそばまで寄ると、こく、と頷いた斉藤くんによかったよかった、と笑う。いざ呼ばれるとなると、普段喋らない斉藤くんということもあり、なんだか緊張してきた。
くい、と口元を隠していた覆面を指で引っ張り口元が露になる。この人実は整った顔立ちしてるんだよな。もっと出したら女性がほっとかないだろうに、なんて考えていると腕が引かれ前にバランスを崩す。斉藤くんの顔が近づいて、耳元に口が近づいた。
「───、」
『っ、』
がちゃり、と扉の出現音が鳴る。ぱっ、と耳を手で多い、斉藤くんの顔を見る。当の本人は既にそっぽを向いていたが、そのアフロの隙間からちらりと見えた耳は少し赤い。
それを見て私までぶわ、と顔に熱が集まったのを感じた。不意打ちすぎる。
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トろさん(プロフ) - 來夢さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです!彼シャツ書かせていただきます!! (2022年7月24日 6時) (レス) id: 52ab68bbcb (このIDを非表示/違反報告)
來夢(プロフ) - 初めまして!とてもドキドキして最後まで楽しめました!リクエストで神威と「彼シャツしなければ出られない部屋」をお願い出来ますか? (2022年7月23日 23時) (レス) id: 57cf74ccf0 (このIDを非表示/違反報告)
トろさん(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!嬉しいです!ぜひ書かせていただきます! (2022年7月23日 19時) (レス) id: 52ab68bbcb (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - コメント失礼致します汗作品読ませて頂きました。凄くキュンキュンして、気づいたら最後まで読んでいました。(*´-`)リクエストなのですが、土方さんお願いします!! (2022年7月23日 19時) (レス) id: 551728da14 (このIDを非表示/違反報告)
トろさん(プロフ) - さきいかさん» そんなふうに思って貰えて感激です!!リクエストありがとうございます!!! (2022年7月23日 6時) (レス) id: 52ab68bbcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トろさん | 作成日時:2022年7月3日 14時