コリウスの花言葉 (ページ40)

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第五話　仲直りの宴ページ40

トム・リドル。孤児院出身のため、両親がわからず、今だ生まれの予想がつかない。
　高い魔力を持っていることから、純血の血を引いている可能性は否定できないが、Aのような場合もある。マグル生まれでも高い魔力を持っている者がいることを、マルシベールは理解していた。
　純血の誇りをかけて、追い越されるようなへまはしないが。
　生まれは重要だ。純血か純血じゃないかで、評価が変わることがある。マグル生まれには悪いが、それが今の魔法界の現状だ。
　だからこそ、トムが自らの生まれを把握しておくのは大切だと、マルシベールは思っていた。
「リドル」
　振り返ったトムを見て、マルシベールは笑みを浮かべた。
「自分の生まれが気にならないかい？」
　整った容姿、優秀な頭脳。それだけではない特別な “何か” をトムは持っている。マルシベールは常々、エイブリーとそう話し合っていた。
「気になるけど……僕は両親の話をほとんど知らない」
「クリスマス休暇中に調べよう。君が何者なのか」
　戸惑いがちに頷いたトムに、マルシベールは笑みを深めた。
　彼の正体を知ることを楽しみにしながら、マルシベールは手帳を閉じた。

　〇

　翌朝、私は朝早くにホグワーツを足った。
　ホグワーツ特急の中で、セシルたちと話していると、一羽の梟が窓の外を飛んできた。
　慌てて窓を開けて梟を中に入れると、梟は一枚の紙を私に渡し、窓の外に飛び立っていった。
　紙を開けると、白い花びらが飛び散った。
　紙には一言、『どういたしまして』とあった。
　送り主がわかり、私は口元に笑みを浮かべた。
　それから、紙を大切に仕舞うと、セシルたちとの会話に戻った。
　窓の外を流れる景色は、すっかり雪で白くなっていた。