第三話 組分け ページ20
純血だからって何よ! 偉そうにしないでって言いたかったわ!」
エミリーは鼻息を荒くして、腕組みをする。そうとう怒っているみたいだ。
「じゃあ、私たちは全員セルウィンに良い思いはしてないのね」
「そうよ! ちょっと家柄が良いからって、あの子、私のお母さんを馬鹿にしたのよ! 大広間じゃ無かったら、呪いをかけてたわ」
杖をしごきながら、エミリーは冷笑を浮かべた。その冷たさに、私は背筋がゾクッとする。エミリーも美少女だから、冷笑は凄みがあって怖いのだ。
美人って、何しても様になるわよね。エミリーなんて、今は女王様みたいだ。
「Aは東洋人よね? 英語がとても上手いわ。私なんかより、よっぽど発音良いし」
「それは私も思った。それに黒髪黒目って、神秘的で素敵だと思う」
「確かに〜」
美少女二人に褒められて、私は照れ臭くて荷物の整理をし始める。これ以上は耐えられない。
二人も整理を始めて、時々話しながら作業をしていく。その途中、私はあることが気になった。
「この部屋は私たちだけ?」
先に荷物の整理を終えたエミリーが、ベッドに腰かけて、
「そうよ。他は純血名家で固められているわ。セルウィンなんて一人部屋ですって」
「え!? 一人部屋!?」
驚いていると、セシルが眉間に皺を寄せながら、
「スリザリンでは当たり前よ。名家は待遇が良いの」
「そうなんだ……」
魔法界の階級を考えてみた。純血が頂点で、その下が半純血、マグル生まれなんて最下位だ。セルウィンにバレたら、馬鹿にされるレベルではないだろう。
「Aは、半純血?」
エミリーが杖を仕舞いながら、聞いてきた。
「ううん。マグル生まれよ。セルウィンにバレたら大変ね」
「大丈夫。その時は私が守るわ!」
エミリーが私の手を取り、そう言った。セシルは「じゃあ、対策を考えときましょう。使いたい呪文ある?」と、羊皮紙を広げている。
「あああ、今は良いから! ね? それより、それぞれの実家の話でもしない?」
慌てて止めると、二人は「それもそうね」と肩をすくめ、ベッドに座った。
それからは、実家の話で大いに盛り上がった。
セシルもエミリーも、日本について興味津々で、日本独特の文化に驚いていた。いつか、日本のお菓子とか食べて欲しい。
あっという間に消灯時間になり、私たちはおやすみと言い合って、ベッドに潜り込んだ。
私のベッドには、ステラが入ってきた。
ステラは、私の顔の横で丸くなる。その背中を撫でながら、
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作者名:オムとセナときどきパール | 作成日時:2020年2月24日 16時