第三話 組分け ページ17
「純血っていうのは、両親とも魔法使いと魔女の人たちのことよ。マグルの血が一斎混じっていない家系なの。それを誇りに思っている家系がほとんどね。だから、純血の人の中にはマグルやマグル生まれを差別している人もいるの。私はあり得ないって思ってるけど」
「マグルって？」
「魔法が使えない、
セシルは小声で、しかし丁寧に教えてくれた。マグル生まれとは、私のような子だという。確かに、私の両親は魔法が使えない人間だ。
「そこの栗毛のあなた。あなたはどこの一族なの？」
不意にティアラ・セルウィンの声がして、私たちは揃ってそちらを向いた。
ティアラ・セルウィンは、品定めするようにセシルを見つめている。
「私は、母親が純血で父親がマグルよ」
セシルは固い声で答えた。テーブルの下で隠れているが、手が僅かに震えている。
ティアラ・セルウィンはスッと水色の瞳を細めて、
「つまり半純血ね。穢れたマグルの血が入った、中途半端な人ってことね」
と鼻で笑った。
彼女の周りに座っている取り巻きたちが、クスクス笑っている。どいつもこいつも見下したような、腹の立つ笑みだ。
流石にムッとして言い返そうとすると、セシルに右手を取られて止められた。
「何で？ あんな言い方されて悔しくないの？」
「良いの。いつものことだから。それより、あなたは何も言わない方がいいわ。彼女みたいな人は、半純血よりもマグル生まれに厳しいから。あなた、マグル生まれでしょう？」
「……そうだけど」
「マグル生まれは、もっと酷い言われ方をされる。あなたには言われてほしくないの」
必死なセシルに、私は何も言えなくなる。
仕方なく、セシルと共に無視をして食事を続けた。それ以降、セルウィンたちが絡んでくることは無かった。
ただ、耳を澄ますとスリザリンのテーブルのあちこちから、マグルを見下すような言葉が聞こえてくる。
その時、ふと私はあることを思い出した。
「セシル、管理人のトレクさんに案内されてた時、“スクイブ” っていう単語を聞いたの。スクイブって何？」
セシルはどこか暗い顔をして、
「スクイブは、“出来損ない” って意味。両親が純血の魔法使いなのに、魔法が使えない子のことをいうの。マグル生まれを差別するのと同じくらい、侮辱的な言葉よ。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
