コリウスの花言葉 (ページ13)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:15,468 hit

第二話　ホグワーツ特急ページ13

私は、トムと他に女子一人、男子一人でボートに乗った。
「しゅっぱーつ」
　オッグが手を掲げると、ボートがひとりでに動き出した。
　目の前に明かりの灯る城が見えてくる。ホグワーツ城だ。黒い湖にもその姿が映り込み、幻想的な雰囲気を纏(まと)っている。
　私は、その光景に感嘆しか出ない。流石は魔法学校と言ったところか。
　学校の周りに、魔力が漂っているのが感じられる。
「頭を下げて！」
　オッグの声に我に帰り、慌てて頭を下げると城の下の洞窟に入るところだった。
　何人か頭をぶつけていて、呻いている。
　洞窟の奥には開けた場所があり、そこに気難しい顔をした老人が立っていた。
「一年生の諸君。こいつは管理人のトレクだ。違反したらすぐに、捕まるから気を付けろよ」
　オッグは悪戯っ子のような笑みを浮かべて、管理人のトレクに私たちを任せて去っていった。
「さあ着いてこい。はぐれてもわしは知らんからな。余所見をしたお前たちが悪い」
　トレクはそれだけ言うと、私たちを校内に案内した。オッグとは違い親しみの無い人だと感じた。
　後ろの方で、男子が数人ヒソヒソと話している。耳を澄ますと、
「アイツ、“スクイブ” なんだぜ」
「なるほど。嫉妬って訳か。スクイブはスクイブらしく、下を向いて生きてりゃあ良いのに」
　スクイブ？知らない単語に、私は首を傾げるばかりだ。
　それでも、その男子の周りの子たちはみんなその言葉に、クスクス笑いを起こしている。どこかトレクを見下したような笑みだ。
　トレクに案内されて行き着いたのは、小さな部屋だった。そこに、ダンブルドア先生が待っていた。
「ご苦労だったトレク。さて、一年生の諸君、ようこそホグワーツ魔法魔術学校へ。まず君たちには組分けの儀式を受けてもらう。寮は、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリンの４つあります。各々どの寮になっても、自らの誇りとなることを願っているぞ。ああ、まだ準備をしているから、暫くはここで待っていなさい。その間に、身なりを整えておくことをお勧めしておく」
　先生が立ち去ると、みんなそわそわと髪を撫で付けたり、ネクタイを直したりしている。
「ねえ、トムはどこの寮に入りたい？」
「う～ん。まだよくわからないからな。決められないよ」
「そっか……」
　私は急に不安になってきた。
　もしも、私が魔法使いなんかじゃなかったら？
　そんな考えが浮かんで、血の気が引いた。