貴方の綴れに生命の音を (ページ4)

今日:24 hit、昨日:14 hit、合計:56,800 hit

3 ページ4

・

飛鳥「パパ〜！かわる！」

一通り話し終えたのか

俺にスマホを持ってくる飛鳥。

丈「あーはいはい、」

ちょっと待ってな、と濡れた手を拭いて

またスマホに耳を付けた。

・

大吾『やっぱ元気やなぁ笑

さすが、あいつと丈くんの子どもやわ笑』

丈「せやな、毎日元気すぎて……大変やで笑」

大吾にそう言いながら、

目線はやっぱり子どもたちの方。

5歳児と6歳児。

男の子ふたり。

片時も目は離せへん。

大吾『元気すぎるんも大変なんやなぁ笑』

そう言って笑う大吾に、

俺は毎年同じ話をする。

丈「大吾。」

大吾『…ん？』

丈「ごめんな。」

静かに、

2人には聞こえないように。

大吾『……ええって。今日はさ、お祝いしたげて。』

丈「……、。」

大吾『……来週、お参り行くな？』

丈「…うん。」

キャッキャと騒ぎ出した子どもたち。

俺はきっと、それにそぐわない顔をしている。

大吾『…丈くん、無理せんといてな？

なんかあったら連絡して。』

丈「…ありがとな、大吾。」

来週の時間はまた連絡する、と

俺は電話を切った。

・

飛鳥「パパ！かなたがパパのちょっとたべた！！」

星空「たべてへんもん！！笑笑」

あいつに似た星空の引き笑いが響く。

丈「はぁ？笑あ！ほんまや、ちょっと減っとる」

星空「ごめんなさ〜い！笑笑」

丈「食い物の恨みは怖いぞ？笑」

俺も子どもたちも、

笑いながら残ったケーキを口へ運んだ。

隣にあった残りもう一切れのケーキは、

綺麗な扇形を保ったまま

何処も欠けずに。

堂々とそこに佇んでいた。

・