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丈「やっぱインスタントとはちゃうな。」
恭平「丈さんでも違いとか分かるんや笑」
丈「お前シバくぞ。笑」
1口飲めば、広がる香りと味。
恭平「和也くんのこだわりのひとつやったから。」
店を開くにあたって、
厨房とは別に
コーヒーを淹れる用のカウンターがいると
設計から使う材木選びまで、全てに携わった和也。
───大ちゃんに、
美味しいコーヒー飲ませたいねん！
コーヒーにハマった兄への
ちょっとしたプレゼントやったらしい。
恭平「あれから豆も変えてないんすけど、
やっぱり和也くんのとは違うんすよね。」
もう一口飲んで確かめてみれば。
そうか、なんか……
和也が淹れたのにはなんか、
濃い苦さと若干の酸味……その中の丸み…？
そんな、抽象的で悪いけど
違う味わいがあったような。
朧気な舌の記憶。
恭平「最初は味の違い、しっかり分かったのに。」
悲しそうな恭平の顔。
恭平「試行錯誤してくうちに
塗り替えられてった気ぃするんすよ。」
料理もそう。
言いながら、俺の向かいに腰掛ける。
恭平「お客さんは、
“和也くんの味や”って言ってくれるんすけど。
多分もう、
俺が和也くんの味やと思って作ってるもんは
和也くんのとは、別物なんやろうなって。」
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作者名：まつだいら | 作成日時：2022年5月21日 20時
