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「○✕通り、歩道橋付近で傷害事件。

被害者は妊婦、意識不明の重体。


容疑者の少年3名は西側三丁目方面に逃走中。」



上司からの出動の声が響いた。


同僚たちが立ち上がり、部屋を続々と出て行く。



丈「流星運転頼むわ。」


流星「了解です!」



それは俺も流星も例外ではなく、



俺は帽子を深々と被り

部屋を後にしようとした。



「藤原!」


丈「っ…はい!」



呼び止められるのは想定外で、

驚いて後ろを振り向くと、


神妙な面持ちの上司が立っている。




「お前は行かんでええ。」


丈「…はい?」


「お前は行くな。大西。お前ははよ行け!」


流星「ぇ、あ。はい!」



残された俺と上司は、

ゆっくりと廊下に出た。



「藤原。」


丈「はい。、」



戦力外通告……?



誰も居ない廊下の隅で

俺は唇を噛み締めた。



「……病院行け。」


丈「……え?笑」



どこも悪ないです、と

俺は上司に笑った。



上司は笑わなかった。



「……和也さんや。」


丈「、、ぇ。」


「意識不明の重体。今病院に搬送された。」



俺は、自分の表情を

切り替えることが出来なかった。


半笑いのまま、

血の気がサッと引いていくのを感じた。



「はよ行け。……命令や。」



頭で考える暇は無かった。



考えられるほどの容量は

持ち合わせていなかった。




ただ気がついたら俺は走っていて。


上司が呼んでくれていた

タクシーに乗り込んでいた。





朝見た笑顔を思い出すと、

シャツの柔軟剤の香りがそっと鼻を掠める。




流れる景色は、

黒く歪んで見えた。




現実は現実より現実離れしている。



現実は虚構だ。



虚妄だ。嘘偽りだ。



12月1日、午後5時過ぎ。




一寸先は闇だった。




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まつだいら(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます!また落ち着いたら、色々と書いていきたいです!読んでくださりありがとございました!✨ (2022年8月19日 16時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主さんのお話大好きです!!ぜひ裏設定も読みたいです!! (2022年8月18日 16時) (レス) @page45 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - 莉里さん» ありがとうございます!オメガバは需要が少ないと思っていましたが沢山の方に読んで頂けて本当に嬉しかったです!また戻ってこれた際は是非、よろしくお願いします! (2022年8月13日 6時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - 完結おめでとうございます。オメガ設定は数少ないので、とても好きな作者さん、作品のお一人です。いつか戻ってきてくださることを楽しみにしています。 (2022年8月12日 21時) (レス) @page45 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - ayさん» ありがとうございます!読んでいただけて、温かいコメントも頂けて本当に嬉しいです!もう少しで完結ですので最後までお付き合いお願いします! (2022年7月31日 0時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年7月19日 19時

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