48. ページ49
.
「敦君、座って」
「は、はい」
庭のベンチに一緒に座る。敦君は手足を虎にしてくれた。本当は全部虎にも出来るみたいなんだけど、
「もしもAさんを襲ったりしてしまったら太宰さんに殺されます!!」と拒否されてしまった
そんな事しないと思うけれど、敦君は心配で配慮してくれたんだなと思い 了承した
「楽にしててね。モデルと言っても、普段の敦君をスケッチしたいから」
「普段の僕、ですか?」
「うん 表情とか 仕草とかに不自然さがあるといつもの敦君じゃないから」
ね、と言い。私は描きだした。柔らかな風が吹いてふわり虎の毛がなびく
虎に変身する異能かぁ。 芥川くんもそうだけど戦闘系に特化していると戦う事ができるよね
私は戦力にはなり得ないけれど
「Aさん、このお仕事長いんですか?」
「んー そうだね 十年くらいかな」
「じゅ、十年ですか!?」
「うん この仕事好きだからね」
「毎日楽しくやってるよ」と言うと、敦君は少し寂しげな顔をした
「今の職場はいや?」
「え、そ、そんな事は…」
あたふたと首を振っていて じっと見つめ返すと敦君はおずおずと口を開いた
「僕なんかが、探偵社にいても良いのかなって思うんです…」
皆さんとても強くて、僕なんか何の役にも立てず…
と自分が探偵社に相応しくないと思っている胸の内を話してくれた
敦君は とても悲しげな目をする
「Aさんが羨ましいです」
「太宰さんや織田さん、他の社員さんや社長に とても信頼されていて、存在そのものが輝いていて」
「僕なんかより、もっと相応しい人が他にいるんじゃないかって…」
僕はとても…と言うと俯いてしまった
「敦君、」
私は手元にあるお水を半分飲んだ
「これを見て、どう思う?」
キョトンとして私が何を言っているのか分からないという顔をした
「「"もう半分しか残ってない"」」
言葉がハモると、驚いた顔をした敦君
「私はこれを見て "あと半分もある"って思う」
コップを置いてじっと目を見つめる
「どういう事ですか?」
「要はね 考え方と捉え方なんだよ」
「同じ状況でも 自分の考え方ひとつで幸とも不幸ともなる」
「私は常に"自分は幸福だ"と思って生きてるの。だから敦君には私がそう見えるのかも」
"輝いていて"
彼はそう言った
でも実際の私は、特別優れた人間じゃないよ
あなたと、なんら変わらない
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ！頑張ってくださいね！ (2018年8月27日 17時) (
レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い！ただ、ひとつだけいいですか？漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです！更新楽しみにしてますね！ (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです！イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キリカ
| 作成日時：2018年8月22日 19時
