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42. ページ43

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日曜日


作之助と喫茶店の帰り道



「にゃ〜ん」


「ひゃッ!」




信号待ちをしていると 足首を突然ペロッと舐められる感じがして驚いて思わずよろける



作之助が腕を支えてくれ、足元を見ると




「にゃ〜」



「「猫?」」



私の足元には白い小さな子猫。少し土のような汚れが付いていた




「どうしたの?」


「まだ小さいな」




二人でしゃがんで見ると、あまり目は開いていなくて 弱々しく私の手をペロペロ舐める




作之助は土を優しくはらっていた




「人懐っこいね」


「あぁ そうだな」




信号が変わり「バイバイ」と言って立ち上がり、横断歩道を歩きだす



「にゃ〜」




渡り終わって後ろを振り向くと とてとてこっちに向かって歩いてくる子猫




「あの子、どうしたんだろう」



するとぽふっと座って 横断歩道の真ん中で動かなくなってしまった




いや、違う



赤信号に変わった


トラックが動き始める



隣の作之助はハッとした顔をして体を揺らした




頬を風がきっていた



気がついたら 鞄を投げて 走りだしていた



作之助が私を名を呼ぶ



あの子は 道路に座ったんじゃなくて




"動けなくなっちゃったんだ"



プッブ--!!!



無我夢中で子猫を抱き上げ


トラックと接触すれすれに渡りきった



「にゃ〜ん」



心臓の鼓動が煩くて 息が上がっている


そんな中 腕の中で手をペロッと舐める子猫




「Aッ!!」



「間に合った〜よかった」



「はぁ… 無茶し過ぎだ」




安堵したような顔を浮かべると 頭を優しく引き寄せられ 作之助の胸に寄りかかる





「心臓に悪い」



と、耳元で小さく言われる。かすかに鼓動が聞こえてきた



多分 天衣無縫で何か見たのかほんとにびっくりしたんだろうな




「ごめん 心配かけて」



「にゃ〜ん」




腕の中で少し暴れたので作之助と離れると、子猫は腕を伸ばして私にすり寄ってくる




「危なかったんだよ 君」



「にゃ〜ん」



って、言っても分からないか。そっと腕から降ろして今度こそお別れを言う



「にゃ〜ん」




「「……………」」




それから 歩いても歩いても 子猫は付いてきて


足を止めると決まって私の足元にすり寄っての繰り返し




「Aが気に入ったんだな」



「そうなの?」




しゃがんでじっと顔を見つめると「にゃ〜」と鳴きながら足にてしてし登ってくる



とうとう太ももまで上がってきて そのまま寝転んでしまった




「どうしよう」


「仕方ないな」



すやすや寝てしまった子猫を抱いて


作之助と家に帰った


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設定タグ:文スト , 織田作之助 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時

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