世界は麗らか【文スト】

04. ページ5

.



「それにしても、今回も歯ごたえのない事件だったなぁ」


「仕方ないですよ、乱歩さんの超推理なら」



ふふん、そうだろうと得意げに笑う乱歩さんと探偵社に帰る途中



「おや？」



立ち止まる乱歩さんの先には、子供が二人少し困った顔で話していた




「どうかしたの？」



気になり声をかけると、「うん…」と答えた



「何か困った事があるんだね？」




乱歩さんがそう言うと、「うん…」とまた答えた。
風船を持った女の子は少し寂しそうな顔をしていた




「道にでも迷ったんでしょうか」



「いや、違うな。これはなかなか面白そうな予感がする」



「え、ほんとですか乱歩さん?」



驚いてそう言うと、「僕を誰だと思ってるの？」と笑うと隣にしゃがみこんで言った



「さっきの殺人事件の真相より、よっぽど面白そうだよ」



「どれ、その謎をお兄さんが解いてあげる!」と言う乱歩さん。それに続いておずおずと話し出した



「お人形さんがね、風船とってくれたの」



「お人形さん?」



人形がって……どういう事だろう



「うん、それでクッキーもくれてとっても嬉しかったんだけど……」



「名前を聞くのを、忘れたんだ」



「そしたら、また会えると思ったんだけど」と男の子が言う



「ふむ……」



「乱歩さん、これは一体……」



話についていけない僕を御構い無しに考え込む乱歩さん。


お人形って、本当にお人形だったの？と聞くと「そうだよ!おっきなお人形が空から現れたの!」と言う


純粋なその眼差しに、何も言えなくなる。もしかしたら誰かの異能力の可能性も………


そうなると、その人形の正体も安全とは言い切れない



「乱歩さん、探偵社の皆さんに相だ「その必要はない」え?」



「なるほどね」と言いながら立ち上がると、得意げに笑った




「大丈夫、そのお人形とはまたすぐに会える」



「ほんと!?」



戸惑う僕をよそに子供達にそう言うと、「ありがとう」と言い嬉しそうに走っていった。




「どういう事なんですか？」


「クッキーの味」


「え?」



歩き出す乱歩さんに慌ててついていく。腕を頭の後ろで組んで楽しそうに言った



「前に織田が食べていたクッキーを一枚貰った。そして、少女からもさっき貰った」



はぁ、それが一体どんな関係があるんだろう。ﾍﾟﾛｯと指を舐める乱歩さん



「同じ味がしたよ。つまり、二人とも同じ"お人形さん"から貰ったわけだ」



「……………あぁ!」



「織田か太宰に言えば、また会えるだろう」



乱歩さんは事件を解決した時より、嬉しそうな顔をしていた。


.

05.→←03.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す