世界は麗らか【文スト】

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ｺﾄｯ



「潜入調査?」



「船上パーティーで開かれる招待客の中に、今回のターゲットがいるのだよ。そのパーティー 男女ペアじゃないと参加出来ないらしい」





へぇ〜 探偵社はそんな大きな依頼も受けるんだ





私は太宰とチェスをしながらその話を聞いている



ｺﾄｯ



むむ なかなかいいところ突いてくるな




「それで、今回は私が行く事になったんだけど」



「うん?」




「与謝野先生は今乱歩さんと出張中でね、パーティーには間に合いそうもないんだよ」




「じゃあ違う人と行くの?」




「事務員さんを潜入調査に引き込むわけにもいかないし、ナオミちゃんはまだ学生だ」




ｺﾄｯ



あ



気がつけば ナイトがクイーン を狙う位置にいる





「A、私と一緒に来てくれないかい?」



「え?」




一緒にって 潜入調査にって事だよね




戸惑っていると太宰は次の手に移る




「今回の潜入にはAが適役なのだよ」




ｺﾂﾝｯ



と、言いながらクイーンを取りﾆｯと笑った




「キングを狙うには、まずクイーンからね」




私から取った駒を自分の手元に置く





「でも私、探偵社員じゃないんだよ?」



「ちゃんと社長の許可も頂いたよ」




「福沢さん…」





なんて事 私 一般人なんですが…



それに適任ってどういう意味なんだ





「Aは何もする事はないから大丈夫。"ただ居てくれるだけ"でいい」




「そうなの?」




それなら私にも出来るかも




「心配ないよ 何かあったら私が守る」




ｺﾄｯ



「あ…」



「チェックメイト」




すっかりキングの周りを包囲され



もはや逃げ道も 挽回できる策もない



完全に太宰の勝ちだ




「降参、一緒に行くよ」




それに、前助けてもらったから 私で役に立てるならと言うと太宰は満足げに笑った




「出航は明日 迎えに来るよ」



「わかった。 でも、服装は?」




私ドレスとか持ってないよ と言うと準備してあるから心配はいらないと返される




え、太宰私の服のサイズ知ってるの?





「明日のために、今夜はゆっくり休んで」




「うん 太宰も川に飛び込むの禁止ね」




「はは Aの頼みならそうするよ」




柔らかく笑って 今度は太宰が降参した



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