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お粥を食べてから数時間経ち、彼は少しずつだけど私の言葉に反応してれるようになった
どうやら、私に敵意がまったくない事を理解してくれたみたい。というか、半ば諦めた感じ。どんな形であれ嬉しく思う
もう彼がきて半日過ぎようとしていた。部屋に戻ると起き上がっていて、手を開いたり閉じたりしていた
「大丈夫? ふらついたりしない?」
「………………あぁ」
置いてあった上着を着ると、彼は初めてあった時の格好になった。心配だけど目はしっかりと物を捉えていて体も動くらしい。もう少し休んで行けばと言ったけど、無用だと返される
「よかった これでちゃんと帰れるね」
「…………!! 」
笑いかけると 目を見開いて驚く青年。白い肌と灰色の瞳はどこか幼くも見える。なんて思っていると一歩近づいた
「……芥川龍之介だ」
「!」
名乗った彼、芥川龍之介と言いう青年は少しだけ笑った気がした
「私は、A よろしくね」
手を差し伸べるとゆっくりだけど握ってくれた。手の平には至る所に傷などがあって心に引っかかる。きっと彼の日常は私にとっての非日常なのだろう
ガチャッ
「Aー」
と 部屋に入ってきた太宰。刹那、ダンッと芥川くんは後ろに下がり驚いた顔を浮かべた
「おやおや、」
「?」
少し怯えたような顔をして太宰を睨んでいる。一方太宰はいつもと変わらぬ顔で私の隣に来る
「A、どうして彼がここに?」
「倒れてたから、看病してて…太宰、芥川くんと知り合いなの?」
「彼は私の元部下だよ」と告げる。なるほど、彼から感じる雰囲気が昔の太宰と被るのはポートマフィアの人間だからという事か。なぜかピリッとした空気になっているけど、太宰は芥川くんに視線をあわせた
「彼女は私の大切な友人でね。親しくしているんだよ」
「…………ッ!!」
すると物凄く驚いた顔をして私をジッと見つめる。どうしたんだろう。その瞳には少しだけ悲しさと焦りを感じた
「…………僕は帰ります」
と言うと、ベランダに向かって歩き出す。「待って!」と声をかけると歩く足を止めこちらを向いてくれた
「靴、玄関の方に置いてたから」
はい、と渡すと軽く会釈をして再びベランダへ……。というか、そこから帰るの?
「もう暗いし気を付けて、あんまり無理しちゃダメだよ?」
「またね」と言い笑うと目を一瞬逸らしたけど小さく頷いて口を開いた
「………ありがとうございました」
それだけ言って 彼は夜のヨコハマに溶け込んでいった
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柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時