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薄っすらと目を開けると ぼやける視界。体は鉛のように重く。手を動かす事も容易ではない。
「…………ッ!?」
脳がようやく覚醒して 今の状況が理解する。見覚えのない天井に覚えのない空間、香り。眼球が動かせる範囲で見ると ここはビルでも牢獄でも倉庫でもない
ただの家だ。
「あ、目が覚めたんだね」
声のした方を見ると女が近づいてきた。カッと目を見開き羅生門を首に巻きつける
「や、つがれに……なに を、した」
動けぬ僕に対し クスリと笑う。「何が可笑しい!!」と力を尽くして言うと
「思ってたより 元気だったから安心したの」
「これ、しまって?」と羅生門を指差す。こいつの頭はどうなっているのだ。更に首に巻きつけ針を刺すようにする
「質問に答えてもらおう。貴様に指図する権利はない」
「なら、あなたも私に指図する権利はないよ」
と言うと、羅生門を首に巻いたまま僕に近づくと額に手をやった。
「うん、熱はないね」
「何をする!!」
腕を払おうとするが思うように動かない。「ダメだよ、まだ動いちゃ」と言い手首を掴まれ布団に戻される
「そんなに怖い顔しないで、大丈夫。あなたを殺したり警察に通報したりしないから」
「なら何故このよような事をした!!」
「うーん、そう言われても」
困った顔をしながらも微笑むその顔は、僕が今まで見てきた人間の中にはいなかった。
「無関係の貴様が、答えろ!!」
理解しがたいその行動。僕の思想に反していて気にくわない。組織にいればこの様な待遇はもってのほかだ。
「ほっとけなかったから」
その一言に、思考が停止する。なにを言っているのだ、この女は。
「あなたが私の家の前にいて、酷い怪我をしていた。あのまま雨に打たれていたら肺炎を患ったかもしれない」
そう言いながら、薬品を片付け始める。その姿に驚き羅生門を緩める
「貴様には関係ない事だろう」
無益な行動をして 自ら僕に手を差し伸べるとは、こいつは一体何者なんだ。
「うーん、関係あるとかないとか、そういうのはないよ」
「………ッ!!」
驚きの連続で、脳がついていかない。不思議と脱力した体。羅生門は離れている
「あなたを助けたかった。それだけだよ」
「だから、そんなに心配しないで」と僕に笑顔向け部屋を出て行った。
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柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時