09. ページ10
.
「じゃあこれでいきますね」
「はい お願いします」
ぐーっと腕を伸ばして一息つく。今日は朝からお仕事の打ち合わせをしていてようやく終わった。もうお昼の時間で担当の青山さんと一緒にご飯を食べる
「あ、Aさんまたそれなんですか?」
「だって好きなんだもん」
いつも同じ定食を食べる私に「もー たまには違うのも食べなきゃですよ」と言われる。青山さんはいつもヘルシーな定食だ
「野菜多くした方がいいのかな」
「バランスは大事ですからね」
「作家さんは不規則になりがちなので気を付けて下さいよ」と、いつも気にかけてくる優しい担当さん。
「そうそう、お手紙あとで送らせて頂きますね」
「ほんと? 楽しみ」
送られてくるお手紙を読むのは好きだ。一生懸命書いたと分かる文字や、色とりどりな絵が可愛いくて毎回読むのが楽しみで仕方ない
「Aさん、顔にやけてますよ」
「え、うそ」
「人気絵本作家さんの弱点は、子供達から送られてくるお手紙ですか?」
とからかうように私の反応を見る。そう言ってる青山さんもニヤニヤして楽しそう。思わずクスッと笑ってしまう
「そうかもね」
照れるように笑って、昼食をとった。
_________________
「嬉しそうだな」
夜、届けられた手紙を家で読んでいると 前に座る作之助がコーヒーを飲みながらふっと笑う。そんなに顔に出てたかな。恥ずかしい
「今日青山さんが届けてくれたの」
「へぇ、そうか」
続きを読んでいると背後から太宰が覗いた。
「"おおきなアヒルがだいすき"ってあの本のやつかい?」
「うん、アヒルと友達になりたいって」
「それは面白い、敦くんに代役を頼もう」
「敦が困るぞ」
なんて、三人笑い合う。どのお手紙も読んでくれた子供たちの思いが詰まっていて、この仕事をしていてよかったって思う。
一冊、私の描いた絵本を手に取るとパラパラとめくって読む太宰。たまに原稿を見てもらったりするから完成品を持っている姿はなんか不思議な感じ。
あるページで手を止めると、ふっとやさしく笑う
「Aの描く物語は、いつも新しいね」
「え?」
「確かに、そうだな」
"新しい"
想像もしていなかった言葉で ちょっと驚く。その一言が何故か心がくすぐったかった。
.
136人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ!頑張ってくださいね! (2018年8月27日 17時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い!ただ、ひとつだけいいですか?漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです!更新楽しみにしてますね! (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです!イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい!楽しみにしてます! (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キリカ | 作成日時:2018年8月22日 19時