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「離してもらえますか」
飛雄はずんずんと私達の間に入って
私の腕を掴む男の腕を払った
一度も見た事がない、怒った顔
その姿にﾋﾞｸﾘとする
「あ〜 昨日の9番だね。いい所なの邪魔しないでくれる?」
「邪魔します Aに触らないで下さい」
「もう手遅れだよ」
「ね〜」と飛雄の背後にいる私を覗いてきた
ぐっと唇を噛み締めて睨みつける
男から守るように庇ってくれる
どうして、どうして
油断した自分が悪い、もっと最初に離れるべきだった
「嫌がってます」
「ふーん…ねぇ、こんな奥手な奴に飽きたらいつでもおいで」
最後に私を見てどこかへ消えた
足の力が抜けて飛雄にもたれかかる
「なにされた?」
「…ごめんなさい」
答えたくない、答えられない
ごめん 飛雄…
目の前にいるのに顔が見れない
今見たら、泣いちゃいそうだから
それなのに安心する、彼の匂いにうるっとくる
「部活終わったら会いに行く」
「ｯ、え?」
「待ってろ」
優しく抱きしめて頭を撫でてくれる
力一杯抱きついて涙を押し込めた
……………
彼は約束通り私に会いにきてくれ、
あった事をぽつりぽつりと話した
「……くそっ」
「ごめん、ね」
「A、」
「大丈夫、」
心配そうに私を見つめる
そんな顔、似合わないよ
「飛雄を好きなこの気持ちは、いつも私を強くしてくれる。だからこんな事で傷ついたりしない」
「ｯ…お前、すげぇな」
「…怒ってる?」
そう聞くとﾑｽｯと口を尖らせ
「おぉ あいつにな」とぶっきらぼうに答えた
「だからこい、」
少し力強く私の腕を引くとベッドに押し倒された
ﾎﾟｶﾝとしてる私に引き換え、拗ねているような表情
優しく落ちてきた唇
ちゅうと音がしてゆっくり離れた
一瞬のキスがもどかしい
もっともっと触れてほしいと思ってしまうのは
私を熱く見つめる、飛雄だけ
「もっと、」
「ｯいいのか?」
「うん」
「忘れるくらいするから覚悟しろよ」
「うん」
「ｯ…抵抗しないのかよ」
「するわけない」
「おまっ、分かってんのか?」
「?」
「わかってねェだろ」
「ありがとう」
「?」
「今日、守ってくれて」
「当たり前だろ」とだけ言って再び合わさる唇
さっきよりも深くて、熱くて、溶けてしまいそう
いつもより余裕のなさそうな鋭い目、
垂れる黒髪が私の頬をくすぐる
「もう、離さねェ」
心臓が音をたてる
とてもとても、長い夜だった
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (
レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました！ (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリカ
| 作成日時：2019年8月11日 19時
