・ ページ48
.
バレー部の試合は終わり、
また今日からいつもの毎日が始まる
そう、思っていた。
「ねぇ、バレー部の男と付き合ってる?」
「…」
ジュースを買い自販機に来たらいきなり背後から壁ドンされ、驚いて振り返ると前に図書室で会ったチャラい人だった
自販機と体で挟まれる
相変わらず光るネックレスと香水が香った
顔を背けると
ｸﾞｲｯと顎を正面に向けられた
強制的に合わされる目
今すぐにでも離してほしい
「昨日見たんだよね〜、バレー部の試合。9番に手振ってたでしょ」
「離して下さい」
「なに、付き合ってんの?」
「関係ないです」
「答えろ」
「…ｯ!」
急に低い声でそう言って顎を握る力がこもる
手を振り解こうとしてもﾋﾞｸともしない
「あの男全然地味じゃん、俺の方が君に色々してあげられるしさ〜」
その言葉に睨むと、
「ほんと可愛い」と顔が近いた
全く聞き入れないその態度に呆れ
抵抗していた手を下ろすと
「なに、その気になった?」と明るく言った
「一つ言わせて下さい」
「なに? 優しくするよ?」
人を揶揄うような口調
きっと、この人は私と住む世界も、
見えてる景色すら感じ方が違う
そんな人に彼を侮辱されるのは
何にも変えがたい、怒り
「彼は、あなたなんかより百倍かっこいいから」
「…へぇ〜」
屈辱 怒り
そんな顔をすると思いきや
目の前の男は ﾆﾀﾘと笑って
とんでもない事を、平然としてみせた
「……ｯ!!、っ!?!?」
唇に、当てられたもの
ねっとりとしたものが口内を荒らす
思わず出た手をいとも簡単に掴まれ
自販機に押しつけられる
力尽くでほどこうにも
体格差のせいで逃げられない
何度も何度も押しつけられる唇
気持ち悪い感触が私を襲った
離れて、やめて
「や、んんっ…!」
「んっ…ふはっ、」
決死の思いで足を蹴るとようやく唇は離れ、
男はよろけて「へぇー」と私の前で笑う
まるで私の反応を楽しんでいるよう
「こんな事でそんな反応するなんて、彼氏とはした事ないのかな〜」
「…」
「そんな男やめなよ、どうせ部活ばっかなんだろ」
忘れたくて、泣きそうで
足に力を何とか入れて歩き出すと、「話終わってなーい」と腕を掴まれる
「いやｯ 離して」
「ダメダメ 逃すわけないじゃん」
ぐいっと腰を引かれる
もうこれ以上、触らないで…!
そう思った時
「何してんすか」
今一番会いたくて、見られたくない人が
私達の前にいた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (
レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました！ (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キリカ
| 作成日時：2019年8月11日 19時
