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雨の降る 四限目
「じゃあ、隣の人とペア組んで解いていけー」
「「はーい」」
それだけ言うと先生は寝た。テストが終わったせいか授業が緩くなっている。それはそれで助かると思っていたら「ねぇ、」と隣から声がかかる
「どこまで解けばいい?」
隣の席の月島蛍。いつも飄々としている
「１から１０までお願い」
「じゃあ、１１から２０ヨロシク」
「うん」
特に苦戦する事なく淡々と解いていく姿から見て、苦手ではないようだ。いつかの彼を思い出す。問題に一喜一憂していて 見ていて飽きない彼の事を
「なに笑ってんの」
手の止めている私を横目で睨む。声が低いせいか威圧的に聞こえるけれど 彼は多分いつも通りなのだろう
「笑ってた?」
「まさか無自覚?」
「そうみたい」
「ふーん」とそれだけ言うと興味なさげにまた問題と向き合った。私も解かないと。遅れた分を取り返すため、いつもより急いで解く
「キミも笑うんダネ」
「笑うよ」
「いつも無表情じゃん」
「そう?」
普通にしているつもりだけれど。しかし彼に言われると何だか腑に落ちない。彼以上にポーカーフェイスのクラスメイトを私は知らないけれど
「一応褒めてるんだけど」
「褒められてる気はしない」
「歩くドール人形とか言われてるんだから 笑うとこみたら驚くでしょ」
「なにそれ」
初めて聞いた。歩くって…そりゃあ歩くだろう。そこまで無気力ではないはず。言ってしまえば彼よりは休み時間動いていると思う
「事実でしょ キミ結構有名だし」
「あなたを噂する女子もよく聞く」
「興味ない」
「私もない」
「キミ面白いネ」と鼻で笑って 問題を解き終えていた
……………
「…」
授業の終わり、「新しいワークが届いたらから出席番号一番のやつ取りに行っといてくれ」と先生。月島に「ドンマイ」といい笑顔で見送られ今に至る
目の前にはダンボール二箱。一個持ってみればそれほど重くはないけれど 箱が大きいため持ちづらい
「よいしょ、」
前が見えない。ダンボールで前が完全にシャットアウトされ どう頑張っても視界はダンボール一色
時折ぶつかりながら何とか準備室を出て頼りなく歩く。これ、誰か前から来ても絶対分からない。自分で避けてほしい
階段を登り、あとちょっとと思った所でバランスを崩す。マズイ 倒れる、そう思った瞬間、
ｶﾞｼｯ
背中を抱きとめる形で、誰かに支えられた
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (
レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました！ (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリカ
| 作成日時：2019年8月11日 19時
