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「あぶねェ 大丈夫か?」
「うん あなたのおかげで」
完全に後ろに傾いている体を腕一本で受け止められている。逞しい腕でぐいっと引き起こされ満足に足で立つ事ができた
誰、何て聞かなくても分かる 彼だ。見えないけれど段ボールごと後ろを向く
「ありがとう」
「お前それどうしたんだよ」
「かくかくしかじか」
「よくわかんねェけど 運ぶ」
「ありがとう 一個お願い」
二段積みの上のダンボールを一つ取られ、腕が軽くなったのと同時に今日初めて見る彼。嬉しくないはずがない
「どこまでだ?」
「私のクラス」
「だから何組だよ」
「一年四組」
「お前、隣のクラスだったのか」
ぐるりと方向転換し廊下を歩く、さっきより軽いのは きっと腕だけではない。足取りも、随分軽くなったものだ
教室まで着き、彼がドアを開けてくれたタイミングで丁度人が出てきた
「うわっ 王様が何の用?」
「んだよ月島」
出会い頭 暴言を吐く二人。不穏と不快さの声色に少し驚くも彼の背後から顔を出して月島と目が合う
「手伝ってもらった」
「ふーん それ、さっき言ってたヤツ?」
「そう」
「貸して」とひょいっ私からダンボールを取り教卓に置いた。隣の彼は気に入らないような顔をして月島を睨んでいる。犬猿の仲なのだろうか
「なに、朝日奈さんと知り合いだったの?」
「アサヒナ?」
「誰だよ」と素で言う彼に「は?」と呆れ顔の月島。私は構わず彼の手からダンボールを取って教卓に置き、改めて向き合った
「私 朝日奈」
まるで初めましてのような挨拶。彼とはもう顔見知りにも程があるのに、とんでもなく今更のような気もする
「お前アサヒナってのか」
「そう 朝日奈A」
「影山飛雄」
［カゲヤマトビオ］影に山に飛ぶに雄だろうか、今度確認しておこう。影山飛雄、名は体を表すとはまさにこの事 その黒い髪と瞳がよく映える
なんて思っていたら私達のやりとりにハァと盛大なため息の月島
「ちょっと 今自己紹介なの 馬鹿なの」
「んだと月島!?」
「普通名前を知ってから知り合いになるデショ」
「忘れてたんだよボゲェ!!」
「はぁ? 普通忘れる?」
「ほんと単細胞」と挑発をする月島に威嚇の勢いの彼。ともかく私は彼の名前を知れた事で頭がいっぱい
「でも、どんなつながりなのさ?クラス違うのに」
「あ? どんなって…どんなだ?」
「聞いた僕が馬鹿だった」
分かったのは 彼の名前と、 二人は相性が悪く 犬猿の仲なのかもしれないという事だった
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かげぇ - 本当にこんなストーリーが思いつくなんて天才ですね。本当に感動しました。ありがとうございます。 (2022年10月21日 2時) (
レス) id: 3036219cf9 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 祈吏さん» 差し支えなければ村上春樹さんのどの作品の女の子に似ているのか教えて頂ければ幸いです。とても気になります! (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます! 月島くんのことも好きになってくれるなんて感無量ですね (2022年6月5日 22時) (レス) id: 81cf740146 (このIDを非表示/違反報告)
祈吏(プロフ) - 主人公の女の子が村上春樹の小説に出てくる女の子みたいですごく好きでした (2022年6月4日 15時) (レス) @page50 id: ed79f9af0b (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - すごく素敵でした。影山くんももちろんですが、月島くんももっと好きになりました！ (2021年6月19日 2時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリカ
| 作成日時：2019年8月11日 19時
