【ヒプマイ】 35℃、カタルシス。2 【男主】

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車窓から、君が見えた


ハンドルを握る手がじっとりと熱を持つ


隣には女性の姿


笑いながら、彼女と手をつないでいる


恥じらう女性


まるで恋人みたいに


ああ


神様、なんて、殺生な


嫌


否






近場に車を駐車し、彼に近づいた

人混みが邪魔くさい

忌々しい

彼の手を握るあの手が

彼の笑顔が




君は、どうして

私はこんなに待ったというのに

こんなに我慢しているのに




彼の細い手首を掴んでいた

痣が見えないような服装

その完治していない傷を知っているのは、私くらいなものだよ




理津は驚いた表情を浮かべ、決まり悪そうに顔を背ける

なんだい、それ

そんなの、もう確定みたいなものじゃないか
そうだろう
ああ、君にとって私とはなんなのかな
都合のいい男だったのだろうか

負の感情が沸き上がる
怒りに変わり
悲しみが溢れ


口から出たのは





「あんまりだよ」





死んだような言葉

しばらく固まっていた理津の腕を引っ張る
彼の隣に佇む女性が、なにか言っていた気がするが気にしない
周囲の人々が私に気づき、何かしら言っていたが気にしない


ただ困惑している彼だけが
唯一私を動かす


理津を車に突っ込み、運転席に乗って早々に発進させる
ここでは人が多すぎる
私に気づいた人たちが寄ってくる可能性もある


目障り


なんて普段抱かない感情すら湧いてくる




「君は酷いよ」

「…なに」

「私は本気だった。君のことが好きだった。君は、答えないばかりか他の女性と遊ぶ」




箍が外れたように言葉が溢れる

ああ
私は君がこんなに好きだった
君は？




「私は、君を待っているつもりだった。君に嫌な思いはさせたくないから。君の言う、『整理がつくまで』待っていようと決めていた…けれど君は」

「勘違いしないでほしい」

「なに」

「俺はそんなこと頼んじゃいない」




ぎゅ、と唇を噛む
伝わらないのか
言葉では伝わらないのか
そうしたら、私はどうやってこの気持ちを平和的に君に、全て、伝えられるのだろう





「こんなに苦しいなら、いっそ、出会わなかったほうがお互い幸せだったかもしれない」





逃れるように言った
その瞬間、助手席から大きく息を吸い込む音
そして





「酷いのはどっちだよ！！俺があんたを選ばなくてもあんたは構わないんだろ！！結局最後は俺任せ、その癖今度は酷い、だ！？ふざけんな！！」





思わず助手席を見れば、頬を上気させた彼が涙目でこちらを睨んでいた

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