【ヒプマイ】 35℃、カタルシス。2 【男主】

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飴村乱数が水城理津と出会ったのは数年前のことだ




「オネーさんっ！僕と遊ばないっ？」




いつものように渋谷でテキトウな女を引っかけ事務所に連れ込んだことがきっかけだった




「俺の彼女分捕ったの、お前？」




透き通るような声

振り返れば

天使みたいな男が立ってた



一瞬で興味がわいた



だって、今までモデルに抜擢してきたどの女より、綺麗だったんだもの

直ぐに名前を聞き出して
連絡先を交換した



絵に描いたような笑みが特徴のもの悲しい雰囲気の男だった

上手に隠してるけど
いつもどこか悲しそうで
空っぽで
可哀想だった







「り〜つ！！いま暇？暇だよねえ？遊びに行こーよっ」



何度も連れまわして、女遊びして

楽しかったなあ




けど、理津はよく遊んだ女を彼女にしてた

とっかえひっかえ




「ねえ理津、どうしてわざわざ彼女なんて作るのさ？重いし、めんどくさくない？」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないしさ。どうせ遊びの延長だよ」




そんなことを言って笑っていた




初めて見た時から、似た者同士だって思ってた


人間が嫌い




だから、理津がこっち側に来たときは、嬉しかった

はじめて理津の本当の部分に触れた




「乱数、ごめん…ごめん」




そうやって謝る理津が可愛くて仕方ない

だから理津のことを調べた

昔のこと
ずっと独りだったこと




ああ、だからか




愛着障害とかいうんだっけ


抱きしめてやれば震えが止まる
いつだって構われていないと不安
誰とでも寝るし、誰にでも優しい


こんな子供みたいな大人、初めて見た




自分だけのものにしたい
可哀想な理津のたった一人の友達


そんな欲求




知れば知るほど嵌っていく




理津のことならなんでもお見通し

とっかえひっかえ彼女を作るのも
何度言ってもこっち側に近づこうとするのも
あんな笑顔を作るのも
あれだけ寂雷とつるむのも






似た者同士だと思ってた

けど、本当は違う


理津はただ＿






だったら尚更自分でいいじゃないか

寂雷である必要なんてない

可哀想な理津を

可哀想なまま

ずっと手元においておきたい






だから、乱数は理津を壊す


何度も

何度も


自分を選ぶまで


何度も、何度も



そのたびに

理津の心が死んでいく様を見ていたい



所有したい感情と

壊したい感情に

理津の心がついてこない






破綻まで、あと＿＿

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