【ヒプマイ】 35℃、カタルシス。2 【男主】

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本当はこんなことしたくはない

確認の意味も込め、一筋の光明を求めて聞いた




「本当に、するのかい」




理津は腕で顔を隠し、小さく頷く


彼は自暴自棄になっているだけだ
次の日になれば頭も冷えて、後悔するに違いない

けれどあの状態の彼を放っておいたら
どこに行くかわからない





「言っておくけれど、優しくはできないよ」

「いいから、さっさとやれよ」





失うことが怖いから、彼を抱く


彼は私の想いを利用しているだけだ
それでも
今の彼にしてあげられることが分からない



だからせめて、彼の望むようにしてあげようと思った



君の目的は最初からこれだったのかな
肉体関係に持ち込むために私を呼んだのかい？



「ごめん」

「…やめろよ」

「ごめんね」



私は君が弱っている姿を見て

どうしようもなく愛おしいと思ってしまう





ベッドのスプリングが、ギシ、と軋んだ

＿




神宮寺先生の優しさに甘えているだけだ






なんでもよかった



快楽でも



痛みでも



なんでもいいから



この苦痛から逃れたかった






…わかっている



相手が自分を好きなら何をしてもいいわけではないということくらい



わかっているはずなのに



最低だ






軋むスプリング

この部屋には二度と来る予定はなかったのに

合鍵、返してないままだし



痛い

苦しい

それで頭を一杯にしたい

何も余計なことを考える暇もないくらい壊して

壊れて



汗ばむ体に長髪がまとわりついて気持ち悪い

相手を傷つけているくせに、惨めな思いに浸っている

目の端から垂れ落ちる涙

それを拭う細い指と耳を塞ぎたくなるような音






なんでそんなに優しくできるんだ


所詮一目惚れだろ


なんで、好きな奴のためにそこまでできる？


所詮他人だろ


なんで


だって俺はこんなに最低な奴なのに


どうして嫌いって言ってくれないんだよ


嫌われるようなこと、たくさんしているのに


そうなるようにしてるのに





傷つきたくないから先に傷つけて


そうやって自分を守ってきたのに


あんたはいつも俺に甘くするから


傷つけてるはずなのに


そんな態度に、傷ついて





息が詰まりそうだ


何があったかなんて言えるわけない


自分がどんな奴かなんて言いたくない


言ったら、きっとあんたは、俺を嫌いになる


嫌いにさせたいのに嫌われたくなくて


どうにもならないジレンマが痛くて







本当は、嫌いでいられるわけないのに

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