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あっさりバランスを崩した相手になだれかかる。
やっぱり、そう、か。
綺麗な藍色の瞳を見据えながら、唇を寄せる＿＿＿
が、
「止めるんだ。」
口元を大きな手で押さえられる。一体なんだというのか。
怪訝に眉を顰めると、相手も眉をハの字に顰める。
「私は別に、君とそういうことをしたいわけじゃないよ。」
「…？」
言っている意味が分からず再度首をかしげると、口元にあった手が額に移動する。冷たいのに、温かい手だ。
「…熱があるね。」
通りで体がだるいわけだ。風邪だろうか。
「君、家は？」
一瞬思い浮かんだ場所があったが、帰ったところでどうにもならないと知っているため、ゆっくりと首を横に振った。
しばらく顎に手を添えていた相手はその手で今度は彼の頬に触れる。
＿どうして、この人の手はこんなに優しいんだろう。
「とりあえず、うちにおいで。そのままでは悪化してしまうだろうから。」
その言葉にドキッとする。
頭の片隅に浮かんだことを口に出そうとするが、「あ」とか、「う」とか言葉が詰まる。何か言おうとしていることは伝わっているらしく、相手は青年の言葉を待っている。
なんとか言葉を吟味して、掠れた、聞き取れるかわからない声を紡ぐ
「…おれ、お金…はらえ、ない…。」
必死に発した声は、しかと相手に届いた。柔らかい微笑みに迎えられ、そう確信した。
「構わないよ。放っておくわけにはいかないからね。」
眩しそうに目を細める青年に相手は頬を撫でる。
「私の名は、神宮寺寂雷。君は？」
「……ユキ。」
＿＿これが、彼の終末の始まり。
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Last(プロフ) - カナリアさん» ありがとうございます。僕自身も今作の主人公はお気に入りです。これからも堪能していただければと思います。 (2018年12月28日 12時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - 主人公くんが可哀想で可愛くて個人的にダイレクトでした…… (2018年12月27日 22時) (レス) id: 90bd7d6cd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2018年11月24日 20時
