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あの日以来、彼とは会っていない


帰ったらやはり、彼はいなくて


酒に酔った赤い頬が思い出されて、煩悩から逃れる様にベッドシーツを洗った





「…連絡もなし、か」


貸し借りなんかが嫌いそうな彼のことだから、合鍵もすぐに突っ返してくると予想していたが
未だ音沙汰なし



忙しいのだろうか
胃に穴が空くほどだから

…だからといって病院で会うのは勘弁したいけれど



寂雷は理津の内面にある様々な表情を見たいと切に願っているが

悲しませたいわけでも、苦しめたいわけでもない




「センセー!こんばんちゃっす!!」

「一二三、挨拶くらいしっかりしろ!…先生こんばんは。今日はわざわざ席を取らせてしまってすみません…これも休日出勤のうえ定時で上がれない俺の_」


「こんばんは。独歩君、今日は私が休みだったのだから気にする必要は無いよ」



礼を述べつつ一二三を叱る独歩
そんな様子を眺める


麻天狼の皆との食事会
仕事で遅れる皆の代わりに私が先に店に来ていた


この頃彼のことで頭が一杯になっていることが多い
宜しくない、と目頭を押す



「先生、どうしたんすか?」
「ほら先生も呆れていらっしゃるだろ!!」

「ああ、違うんだ。それより二人とも、ほら。久しぶりに集まったんだし、注文をして乾杯しよう」







やはり、このお店に彼と一緒に来られたらな、なんて妄想をしてしまう

断られることは目に見えているのだけれど




「せーんせ、マジどうしたんすかー?ぼーっとしてるし」

「やっぱりお疲れなんじゃ…先生の貴重な休日を浪費してしまってすみません…」

「浪費だなんて、そんな。私は君たちとこうして食事をすることがとても楽しいよ。…ただ」



「ただ?」




言うつもりのない言葉が不意に出てしまう
好奇心旺盛な一二三の前では無かったことにはできなさそうである




「あ、いや……最近気になっている、というか。その人のことばかり考えてしまってね」

「えっ先生が…」

「まさかの恋バナっすか!!?」




私は普段朴念仁とでも思われているのだろうか
驚愕されてしまった



「ううん…女性じゃないんだ。親しくなりたいと思っているのだけれど、なかなかうまくいかなくてね」


「誰っすか?」

「おい、流石に失礼だろ…」



と言いつつ独歩も気にしているようである
寂雷は迷ったが、一二三に押され、口を開く

知らないだろうし、問題ないか




「水城理津君というんだ」


「えっ」





二人の声が重なった

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Last(プロフ) - 狐猫音。さん» ありがとうございます。そう言っていただけると書いていてよかったと思えて感慨深いです。そろそろ続編に突入いたしますが引き続き楽しんでいただけるよう努力していきたいと思います。 (2019年3月29日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - 乱数くんが主人公の裏表をうまく表現してるみたいで好きです(笑)寂雷先生と主人公、なかなか際どくてそれもまた好きです!これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2019年3月29日 9時) (レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
apipe - これからどうなるのかなo(^o^)o ワクワク (2019年3月4日 22時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - apipeさん» ありがとうございます。ゆっくり更新になると思いますが楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年3月1日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 寂雷先生好きなので嬉しいです。続き楽しみにしてます! (2019年3月1日 16時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Last | 作成日時:2019年3月1日 1時

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