【ヒプマイ】 35℃、カタルシス。 【男主】

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頭痛の中、重い瞼を持ち上げる

眩しい



長髪に埋もれた

やんわりとした笑顔





「おはよう」





その笑顔は俺を優しく包み

細い指がこめかみの辺りをくしゃりと撫でた



暫くぼうっとしていたが

だんだんと情報が頭にインプットされていく



ここはどこなのか

どうして隣で彼奴が寝ているのか

その笑顔は何なのか





「…は」





完全に目が覚めて
まず行ったことは

自分の服をまさぐること




「…え、は？え…ちょまっ…え」




どういうわけか全開のワイシャツ
外れているベルト

そして





「ふふ、昨晩は楽しかったね」





清々しい笑顔


嘘だろ


終わった




「理津君？冗談だよ」


「…はい？」


「冗談」


「は」




感情が完全に抜け落ちた顔で理津の口から空気が漏れる
寂雷がやや言いづらそうに顔を歪める




「あの後理津君、寝てしまったから。住所も知らないし」

「そ、れは…俺の責任ですけど。服は」

「熱いって言って君が自発的に脱いだんだ」


「嘘ですよね」

「私もまさか君に脱ぎ癖があるとは思わなかったよ」




羞恥が全身を覆う

昨日の俺を殴りたい




「それにしたって、なんで隣で寝て…」

「驚かせようと思って」




悪戯が成功した子供みたいに笑う

その顔を殴りたい


寂雷は楽しそうに笑いながら体を起こし、理津の頬に触れた




「朝食、できているから」

「…すみません」

「いいよ。元々誘ったのは私の方だからね」




完全に事後のような会話に怖気が走る
思わず腰回りの異常を確認したが問題ないようで安心した




「私はもう出るけれど、眠いようなら寝ていて構わないよ。だいぶ飲んでいたようだし」

「仕事ですか？」

「うん。鍵、玄関に置いておくから、次会った時返してほしいな。まあ、君がその気ならずっといてくれて構わないけれど」




しれっと次に会う口実まで取り付ける辺り食えない人だと思う

揺れる長髪を見送り、二日酔いの頭痛に顔を顰め自らの体温の残る枕へ顔を埋める



…他人の匂いがする



しかし悪い気はしない

気を許したわけではなく



普段お邪魔する女の子の部屋と違い、どぎつい香水の匂いも事後特有の生臭さもない

柔軟剤は＿割と俺好みだし



自分でもいつまでもこうしているのは気持ちが悪いと思うため
寝たい身体に鞭を打ち起き上がった







ベッド脇にベルトが落ちていた

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