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元々予約していた店だった
落ち着いた雰囲気でちょっと高級感もある
がやがやとした居酒屋と違い密室感の少ない個室
割とお気に入りの店
「いらっしゃいませ、ってリツくん！？」
…嘘だろおい
なんでここにいるんだ
怪訝な思いを隠し、できる限り笑顔で軽く手を挙げる
「はは…久しぶり〜予約してたんだけど」
「予約…？前の女の前で別の女とイチャつこうってわけ」
店員が予約というワードに明らかに反応する
この女性店員、まさかの元カノです
別れたのは、結構最近
まさかここで働いてたとは…知らなかったのだから悪意はない
前に、気になっている子はこの店、みたいなことを口走った記憶がある
店員は品定めするように俺の後ろを注視する
「違う違う。ただの知り合いだよ。席、案内してくれる？」
「お洒落なお店だね」
俺に続いて入店した人物に彼女が目を見開く
それもそうか、有名人だもんな
口を開きかけた彼女に人差し指を口元に寄せ、制す
こんなところで人が集まってきたらたまったものではない
「ね？知り合いでしょ」
昔していたような笑みをすると、彼女は後ろをちらちらと見ながら席に案内してくれた
「はぁ…」
「彼女は知り合いかい？」
座敷になっている個室に向かい合って座るや否や、神宮寺先生が聞いてくる
「ええ、まあ」
「予約と言っていたけれど」
「あー…まあ」
まさか、狙っていた子がドタキャンして予約していた費用が勿体ないから、なんて言えるわけがない
…野郎と来るつもりもなかったが、店員が元カノだった今なら幸運だったと思える
「そういや、前に奢るって言いましたよね？ここは俺が出すので気にしなくていいですよ」
「そうかい？ではお言葉に甘えるよ」
適当に注文を済ませ、待っている間
神宮寺先生が口を開く
「今日は、君の色々な顔を見ることができて嬉しいよ」
「は？」
「君はいつも笑っているから。今日のような自然な表情は珍しくて」
はっとして、掌に汗をかく
嫌いすぎてついに笑顔すら保てなくなったのか
「そうですか、それは良かったです」
神宮寺先生が少し寂しそうな顔をする
白い腕が伸びてくる
頬に指先が触れる
「無理して笑う必要はないよ」
他人の体温と
確信を突いたような言葉に
気づけば理津はその手を引っ叩いていた
「…ああ、そんな顔も出来るのか」
酷く冷めた瞳が寂雷を射抜く
嬉しそうに、嬉しそうに
寂雷は笑った
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Last(プロフ) - 狐猫音。さん» ありがとうございます。そう言っていただけると書いていてよかったと思えて感慨深いです。そろそろ続編に突入いたしますが引き続き楽しんでいただけるよう努力していきたいと思います。 (2019年3月29日 23時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
狐猫音。(プロフ) - 乱数くんが主人公の裏表をうまく表現してるみたいで好きです(笑)寂雷先生と主人公、なかなか際どくてそれもまた好きです！これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2019年3月29日 9時) (レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
apipe - これからどうなるのかなo(^o^)o ﾜｸﾜｸ (2019年3月4日 22時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - apipeさん» ありがとうございます。ゆっくり更新になると思いますが楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年3月1日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
apipe - 寂雷先生好きなので嬉しいです。続き楽しみにしてます！ (2019年3月1日 16時) (レス) id: 6a53dc23ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2019年3月1日 1時
