【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

そして死ぬ。 ページ40

「それは…まあ、感覚で、としか…」



おいおいおいこれはマズイ流れだ
運命だから好きになったって言ってるようなもんだぞ！？けど、これ以外の言い方あるか！？



『感覚』

「あ、ああいえ！！！その…そうであってそうじゃないと言いますか」

『どっちですか』

「ええと……」



まさか三十路手前でこんなに追い詰められることがあるなんて……
地球2周半の血管に血を循環させ、地球を5周する勢いで頭を働かせる

けれど

不安げに揺れるAの顔を見たら、何もかもふっとんでしまうのだ



「…顔を、みるだけで…幸せになるんです」



いつのまに俺の口にはAIが搭載されていたのか
理性的で合理を好んでいたはずの俺に
質問に呆然と答えてしまう口があったなんて



「名前を呼ぶだけで、そわそわしてしまって」



じっと見つめると恥ずかしくなってくるのに、土壇場では穴が空きそうなくらい目が釘付けになる



「仕事をしていても、あなたのことばかり考えてしまうんです」



今なにをしているだろうか
考えて幸せになるのに
他の誰かと笑っていたらと考えると嫉妬する



「一緒にいたくて、たまらなくなるんです」



ただでさえ忙しい身だから
いられる間は、少しでも、長く



「手を繋ぎたくなって……キスしたくなって」



触れると嬉しくて
照れくさくて
でも、もっと触れたくなってしまう



「……そう思ってると気付いた時に、恋をしていると知りました」



運命は恋と呼べるか
恋とは運命なのか

最初は運命だった
一目見て本能が欲した

そして今は
理性が、彼の全てを欲しがっている



脂汗が流れた
沸騰するくらい顔が熱い
ぼうっとただぽつりと零した言葉たち

Aの顔を見ていたはずなのに
話すことに必死でほぼ思考に飛躍していた


だから気付かなかった



『墓穴掘った……って、こと…か』

「え」



見飽きない赤い顔は端正すぎて
目線だけ横に逸れたAは、あまりにも可愛すぎる

言葉の意味がよく理解できなくて聞き返す
俺の羞恥を軒並み煽って、自分で言っておいて真っ赤になったことは確かに、墓穴を掘っているが…

Aは空いている方の手で自らの顔を覆う
空いていない方の手で、俺の手をぎゅっと握ってくれる

そして、小鳥のさえずりのように小さな声で言った




『……番に、してください』

「…え」

『俺を……銃兎さんの、番にしてください』

「ええ！？」




『すきです』





＿＿＿死んでしまいます。

運命は途切れ、→←追い詰められ、

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