【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

追い詰められ、 ページ39

泣いたと思えば顔を真っ赤にして
情緒不安定なのはヒートだからだろう



「Aさん、手を繋ぎたいです」
『……ここは、安全だと思うんですけど』



顔をふいと背けてAはボソッと呟く
やられた



「あ、あれはですね…」

『それに…いつも、無表情だったじゃないですか』

「それは…ですね…」



しどろもどろになっていると顔を背けていたはずのAがこちらを窺う
よもや、逃げられまい



「……かっこいいと、思われたくて」
『は？』

「格好いい旦那だと思われたくて……」
『は？』

「……すみません」



言いたいことはわかる
どうして無表情で口数も少ない旦那が格好良く見えるというのか



「浮かれてたんです…こんなに、可愛いお嫁さんをいただけて…嬉しくてつい」
『は……？』



すみませんッ！！！
がばっと布団に頭を擦りつける



『そういう、反応に困ること言わないでください…』

「なんだか素直ですね、A……さん」

『もうAでいいです……入間さんが素直だからですよ』

「そう、ですか」



こちらが素直になれば、相手も素直になる？
だったら本当に俺は、今までなにをしていたんだ



「A、手を…繋ぎたい」



布団の端からちらっと手が覗く
Aの髪の隙間から、赤い耳も

指先を情けなく震わせながら握ると、2度目とは思えないほどしっくりきた



「抑制剤は、あと何時間持ちそうですか？」
『……多分、5時間くらい』
「そうですか」



繋いだというより、俺が握っていただけの手を
Aがわずかにきゅっと握り返す
俺の心臓も握りつぶす気か？
けれども確かに、満たされていた



『…俺、ずっと女の子と結婚したかったんです』
「えっ」



一瞬にして満たされた気持ちから断頭台に早変わり



『でも、本当は…恋もよくわからなくて』
「そ、そうですか…」



この調子だとフラれるんだが？
離縁か？離婚か？今なのか？

こんなにいい雰囲気なのに！？



『だから、好きな人もよくわからなくて』
「あ、あぁ…の、A？」



スピード婚からのスピード離婚なんて笑えねえぞ！？
俺はこんなに愛してるのに！！！



『だから、聞きたい…んですけれども』
「あ、ハイ」



なんだ？新しい恋の見つけ方か？円満な離婚の方法か？



『恋って、どうやって知るんですか？』

「うっ…！？」



嫁の顔が暴力的に可愛い

そして死ぬ。→←アルファは笑い、

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