【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

捕らわれ、 ページ36

なぜ、手を…握られているんだろう？

もしや、俺を恋に落とすための作戦？……あぁだから、そういう先入観をもっていちいち考えちゃうのやめろって！！

入間さんの好意に気付かなかったのも、入間さんの厚意を無碍にしてしまっていたのも、元はと言えば俺が悪いし…
もう少しだけ、素直に言葉を受け取るくらい、できなくちゃいけない…と思う



「……A？もしかして、体調が！？」



あ、うん。入間さんにはもう少し察する力をつけてほしい


＿＿って、え？俺今、入間さんに手を握られたせいで赤面してるって思ってほしかったのか？

それじゃまるで、少しは気がありますよって思ってほしいって思ったみたいじゃないか？

俺が入間さんを好きみたいじゃないか！？



『ちっ…違います！！！』



好きでも何でもないし体調だって悪くない！

安堵したように微笑む入間さん
多分、安堵してるんだと思う…

うぐぐぐぐ……入間さんの笑った顔見ただけで、心臓がさらに、やばい
俺さっきから意識し過ぎじゃあないか？


というか、さっきからすげえ不整脈＿＿＿＿あれ？


きゅっ


はっとした時には入間さんによろけるように、けれどなんとか踏ん張って
俺は握られていた指先に絡む、入間さんの手に親指を添えていた

これ…握り返したみたいになってる？
すがりついてるみたいじゃない？



体、おかしくない？




ドッドッドッ……耳にまで聞こえる音は緊張のせいだと思っていた
奇妙なくらい、力が入らない
顔は熱くて、身体が寒い

冷たい指先は風呂を掃除しているせいだと思っていたけれど、それにしては




『あっ……』




横抱きにされていた
言い換えると

お 姫 様 だ っ こ

なぜそうなった？
入間さんの真剣な顔が視界いっぱいに広がって、いつのまに回されていた手が俺の貧弱な肩をしっかりつかんでいる



「やはり、おかしいと思いました」

『や、やはり…って』

「フェロモンが一切感じませんから」

『え』

「思い当たることがあるのでしょう？」



……ある
抑制剤を飲んだ。用量より、1錠多く

ふい、と顔を逸らすとものっそい笑顔ですごまれる
これは絶対先入観じゃない。「言え。」と言われている



『……抑制剤を、飲みました』
「……ただ飲んだだけではありませんね？」
『1錠多く飲みました……』


「馬鹿野郎！！」



声のわりに、まるでガラス細工を扱う様な手に
不覚にもときめいてしまった

そして吐露する。→←惑い、

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