【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

チャハーン ページ23

料理は好きでもないし得意でもない。
ただ、料理くらいできろという母からの指令だ。

だからあまり凝った料理はできない。



『えー…昨日の残りの白米と、あ、ベーコンもある。人参、ネギと…卵もキリいいし使っちゃうか』



冷蔵庫の中をチェックしながらぶつぶつ呟く。
入間さんは、電話中。なんだよ結局仕事終わってないんじゃん。

材料を揃えて作るのは、チャーハン。米さえあれば昨日の残りとか適当にぶち込んで作れる、ある意味『万能料理』

ただ入れるものによってはジャイ○ンシチューができちゃうから注意。クッ○パッド先生、よろしくお願いします。



「はぁ……」



うっわ、陰鬱。
にしてもおかしいなぁ？いくら入間さんが啖呵を切ったといっても電話の1本2本来るものだと思っていたのに。

これ自己都合退職扱いになるのか？



「何を作っているのですか？」
『ぎッ！？』



ぎゃっ！！をすんでで飲み込んだ。肩越しに覗き込まないでほしい。
控えめな声で、チャーハンですと答える。



「そうですか」



聞いといてなんなんこの人。あーもう嫌だ。
いくら助けられたとはいえ苦手意識がなくなるわけではない。

昨日まで苦手だった人が今日になって大好きになっていますか？無理だよ。

少なくとも『普通の人』としての対応になるでしょう。
けれども……先程は俺のフェロモンで多大なるご迷惑をおかけし、昨晩も号泣会見で多大なるご迷惑を……って俺基本的に迷惑しかかけてないな！？

良妻どころじゃないよ迷惑野郎だよ離婚案件だよ！！

幾ら運命の番でも性格の不一致価値観の相違傍若無人な嫁とか最悪だよね。俺だ。




『あー…の、いる銃兎さん』




入間さんって呼ぼうとしたら眉が、眉が。

俺こんなにわかりやすくてドスの利いた眉の動き見たことないや。世界レベルだね。

いる銃兎さんってなんだよ森のくまさんか。ある日森にいるくまさんか。俺何言ってんだろうね。

銃兎って呼んだらご満悦ですね営業スマイル。




「なんでしょう」

『チャーハン、食べますか？……あ、いいんですお昼食べたならどうせ昨日の残りつっこんだだけだし俺が作ったチャーハンとか食べたくないですよね』




舌の肥えた入間さんは。と余計なこと言いそうになった蛇足。

しかし入間さんは一瞬呆然とした後

少し前のめりになって眼鏡を掛け直した




「いただきます」




その頬がわずかに紅く高揚して見えるのは

そう思いたいだけだろうか。

腐蝕の王→←放さない。

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