【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

ぷぁ。 ページ20

アクトクケイカン…？
なにその四字熟語。
……嫁って言われるといちいち赤面してしまう俺。



「失礼な。(まだ)嘘なんてつかせていませんよ」



今、まだって聞こえた気がする。幻聴かな。
入間さんは碧棺左馬刻との食事を避けているようだ。それとも理鶯さん？の料理を避けているのか？

多分、前者だろうけど。



「はッ！理鶯の手料…ん"んッ……誘いを断ろうなんてそうはいかねえぞウサポリ」



今、手料理って言いかけました？え？そんなにヤバイもんが出てくるの？逆に気になるんだけど。
って言うかウサポリって何？なにその可愛い呼び方。
入間さんって萌えキャラだったんだ。




「いや、左馬刻。無理強いはいけない。……小官がしたくてしていることだからな」




ええええええ萌えキャラはこっちだった！！？

この顔はあれだ。
拾ってきた動物を「元居た場所に返してきなさい！！」って怒られた子供の顔だ。罪悪感と親心がバチバチに刺激される恐ろしい顔。

こうかはばつぐんだ！
俺に53万のダメージが。



『……入間さん』
「はい？」
『あの、確か…こっこれから仕事じゃないですっけぇ？あぁ〜だったら俺、リオウさんにご馳走してもらうので。し、心配しないでくださいぃ』



生まれてこのかた演技をしたことが無い男。

入間さんがまた、無表情になる。スンって。
その顔をされると、俺は突き落とされたみたいに心臓が氷漬けになる。

そして入間さんは俺をじっと見た後、深い深いため息を吐いた。

なんでできの悪い子にするような溜息なんだよ！




「申し訳ありません理鶯。実は今日は初デートでして……またお誘いいただけますか？」




プァ？

でぇと？またハイカラな言葉をつかいよってからに。
でぇとですって？誰と、誰が。俺と入間さんが？

初デートと言われればそうですよだって今まで一度も一緒に歩いたこと無いし。
だとしてもそんな恥じらう乙女のような顔で俺を見ることはないんじゃないか。




「そうか。それは野暮なことをしてしまった。今日は左馬刻にふるまい、また次の機会に誘おう。」




お待ちになって理鶯さん。
どうしてそんな慈愛の表情をするの。納得しないで、ねえ。



「それでは、失礼します」



失礼しないで待って。俺の肩を包まないで？密着してますよ。

デートって恋人がやるやつだよね？だったらそぐわないよね？



と思いつつも俺は後ろの方で怒鳴っている碧棺左馬刻を応援することしかできなかった。

それでも、→←猫の額ほど

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