【入間銃兎】運命だけど、恋じゃない。【男主】

猫の額ほど ページ19

「妻だぁ？」


碧棺左馬刻が俺をじとっと見る。
見て、見て、見＿＿＿＿＿



「それ以上近づいたらぶっ飛ばしますよ左馬刻」



人を殺せそうな赤い目が離れる。
そしてどういうわけか俺の頭をわしゃわしゃとガサツに撫でた。

不器用で優しい手にぼけっと見返してしまう。そんな俺の顔をみて口の端を吊り上げる碧棺左馬刻。



「はっ、こんなちんちくりんが嫁かよ。まぁテメェにゃお似合いだぜ」

「強制わいせつでしょっ引くぞ」



いやさすがに職権乱用。
入間さんてこんな粗野な喋り方する人なんだ。意外だ。
いつも無表情か営業スマイルの両極端だからなあ。



「銃兎の妻か」
『えっ、はい……』



言い合っている2人を横目に、一番背の高い堀の深い顔立ちのイケメンが俺を見て聞いた。
心の中で不本意ながら、と付け足す。



「銃兎の話通り、美しいな」
『はぁ…？』



……イケメンのスマイルが俺の心にクリティカルヒットした件について。
だって無表情だったのが「ふっ」て！！

いやいやいや入間さんなんて言ってるの？美しい？俺が？

わかった。顔だ。
つまり、「話通り(オメガは)美しいな」ってことか。



「小官は毒島メイソン理鶯。A、と言ったか」

『は、は、はい……』

「お近づきの印にこれから小官が手料理を振舞おう。本当は左馬刻と銃兎に食べさせようと思っていたのだが、人数が多い方が楽しいだろう」

『手料理？』

「ああ」



二点三点突っ込ませてほしい。
なんで初対面で突然手料理を振舞われるフラグが立ったのか。
まずお近づきの印とは如何に。さっき名乗ったよね、さっき。

良い人そうだけど、天然なのかなぁ。
でも……守りたいこの笑顔。



『あ、ええと…まぁ、ご迷惑でなければ、是非』



そうだ逆転の発想だ！！これって友達できるフラグだよね？
だって良い人そうだもん。(単純)

どうせ行くところ無いんだしこれから徐々に交友関係を広げていけば＿＿

と思ったら、肩をぐっと抱かれた。




「理鶯、申し訳ありませんがAと私は先程昼食を食べてしまいまして…」

『は？』




二点三点突っ込ませてほしい。
やっぱ呼び捨て、気の所為じゃなかった！！
そしてなぜ嘘を吐く！？俺の猫の額ほどしかない繋がりの拡張を妨げやがって！！



『ちょ、入間さん？』
「話を合わせて」
『なんで！？』
「いいから…！」

「オイオイ銃兎ぉ、嫁に嘘吐かせるたぁ流石、悪徳警察官だぜ」



入間さんが耳元でがっつり舌打ちした。

ぷぁ。→←痛い。

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