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Aさんは、出てきて俺を見るなりニヤリと笑った



「来たんだな」
「そりゃ、来るでしょ…」



ドッキリ大成功の看板でも持ってそうなAさんとは裏腹に
俺は脱力する

まさか、昨日のゲーセンでやったゾンビゲームが伏線だったなんて…



「仕事って…」
「ま、趣味と実益だな」



快活に笑う顔ははじめて見る
一仕事終えた後の清々しさまである



「でも、惜しかったっすね。3位」
「あれはしゃあねえな。それより飯行くぞ」



しゃあねえ、という割に全く気にしていないようだ
それはそれとして、プロゲーマーって、儲かるのか?



「言っとくが、勢いで会社辞めたわけじゃねえからな」
「そう…なんすか?」



確かにAさんは結構堅実な人で
っつうか狡猾で
ノリでデカい選択する人ではない、と思ってるけど



「…貯金とか」
「お前に心配されるほど可哀想なことになってねえよ」



まあ、元々あの豪邸…
少なくとも一人暮らしするには豪華すぎる部屋を賃貸だもんなあ…
意外といいとこのボンボンかもしんねえ、し



「ン?」
「あ?」

「俺って…Aさんのこと、マジでなんもしらねえ…」
「今更だな。だから尚更お前が俺を好きになった理由がわかんなくて翻弄されたんだろ」



そう言って俺の頭を撫でる

蜘蛛の子を蹴散らすように消えた人混み
けれども熱冷めやらぬ人々



「一年分」
「え」
「話さなきゃいけねえこと、いっぱいあるから」



こっちを見ないAさん
それでもその手は俺の頭の上



「土産でも選びながら、ゆっくり話すか」



はぐらかすように
でも、確かに

俺に歩み寄ろうとしてくれる背中



「俺も、話したいこと、いっぱいあるんで!!」



だから
ゆっくり歩こう
同じ歩調で

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Last(プロフ) - ショコラさん» 残り数話ですが頑張って更新再開します。お待たせして申し訳ございませんでした…! (2019年12月11日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 遥翔さん» 長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。ぼちぼち更新を考えております。ありがとうございます…! (2019年12月11日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - 完結出来るその日まで、待ち続けます!ゆっくり休んでください (2019年10月19日 12時) (レス) id: 66813c167e (このIDを非表示/違反報告)
遥翔 - ずっと気長に待っているので安心して休んでください! (2019年10月18日 23時) (レス) id: fbd4c1da15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Last | 作成日時:2019年9月7日 23時

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