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神宮寺寂雷は月貴に興味があった
そう
彼と出会ったのは確か、去年の春
仕事の悩みで彼がカウンセリングに訪れたのがきっかけ
ホストクラブで働いているという
成る程、どうりで顔が良いと思ったことを覚えている
私の想像していたホストとはかけ離れて礼儀正しく口調も穏やか
そしてどこか影のある態度が興味深い
一二三君と独歩君の友人と聞いたときは驚いた
カウンセリングに来なくなったと思ったら、今度は診察室ではなく居酒屋で向かい合っていたのだから
彼とはその後、何度か麻天狼のメンバーに交じって食事をする機会があった
けれど
彼が私に壁一枚隔てた態度なのは変わらなかった
私は、彼に嫌われているのではなかろうか？
そう思っても仕方ない
だって
彼は一二三君達といる時、本当に楽しそうに笑うのだ
蓋を開けてみれば
どうだ
「あっ！！ムッちゃん！！」
「月貴！！」
突如店を飛び出してしまったその背
迷惑そうにこちらを睨む店員
「…一二三ぃ！！」
「えっ俺っちのせい？！」
狼狽する一二三の横で独歩が慌てた手つきで携帯電話を取り出す
寂雷は一二三と共にテーブルに零れたビールをお絞りで拭った
「あああどうしよう月貴出ない…！！」
「独歩君、とりあえず落ち着いて」
あんな気まずそうな表情
泣きそうな表情をするなんて、誰が考える
私も私で、驚いて自分がどんな顔をしているのかわからなかったが
彼の表情から察するに、酷い顔をしていたのだろうな
追いかけねば
なぜそう思ったのかは謎だけれど
そうしなければならない気がした
「申し訳ありませんが二人共、この場は任せました」
「えっ」
「ちょっセンセー！！？」
財布から取り出した札をテーブルに置き、彼の後を追った
彼が出て行ってから数分経っている
しかしそう遠くには行っていないだろう
迷惑がられるだろうに
今会って何ができる
彼をこれ以上傷つけるのではないか
そんな感情が沸き上がるが捻じ伏せる
私は彼に興味があった
今の状態を放置すれば
彼は
ひとりぼっちになってしまう
＿
ネオンに包まれたその背は
酷く小さく見えた
一二三の派手な金髪と違い黒い髪
人懐っこそうな仕事用の顔とは違う、気弱そうな青年
その肩を軽く叩けば、驚いて振り返り
逃げようとする腕を掴んだ
アレキサンドライトのような瞳が
泣いているように蒼くくすんだ
「…ごめんなさい」
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Last(プロフ) - いおさん» ありがとうございます。詩的な表現に気を遣っていたのですが、そう言っていただけてとてもうれしいです。完結までよろしくお願いします。 (2019年6月1日 21時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 素晴らしすぎる作品ですね…!続きが気になり過ぎて堪らないです!!文章も綺麗で、何から何まで素敵な作品です…!!これからも頑張ってください…!! (2019年5月28日 23時) (レス) id: 1d7aa46e15 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます。お話も割と終盤ですが今後も楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月26日 15時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - しんどい…好き…めっちゃ心抉られるくらいキュンときます…俺的にはどストライクすぎます。作者さん好きです（） (2019年5月25日 0時) (レス) id: 3d53cc1cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 腐女神さん» ありがとうございます。完結まであとわずかですが今後とも気長に待っていただけると幸いです。 (2019年5月19日 2時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2019年4月27日 1時
