【ヒプマイ】 シークレット・バース 【男主】

1 ページ1

今日は最高の日だ



仕事の忙しさから離れ
友人たちと酒を飲み交わす

狂気的なネオンにズタズタに切り裂かれた冷たい夜も、今日ばかりは赦そう
大量のビル群に突き上げられた星空も、今日はその闇に鮮明に輝いて見える

今日ほど世界が瑞々しく見えることはあるだろうか？いや、無い



どうしてこんなに機嫌がいいのかって？単純に酒の力、ではないと断言しよう
だって、ほら、見ろ


俺のナナメ前
そう、あの人が座っているんだぞ
大好きなあの人が
…これは夢か

ああ、なんて幸せな空間なんだ



「おーい、ムッちゃん俺っちの話聞いてる？」

「はっ…悪い悪い、なんだっけ？」



つい我を忘れてしまっていた
というか見惚れていた
あんまり見てるとばれるよな…

そう思って慌てて視線を向かいに座る同僚兼友人＿伊弉冉一二三に向ける
すると、心配そうな顔がこちらを窺い、俺は再度そちらへ目を向けざるを得ない




「六月(ムツキ)君？あまり飲み過ぎないようにね」




心配されてしまった
どうしよう嬉しい
またぼうっとしてしまう俺を見て、隣に座る友人も俺を気遣ってくれる


「体調悪くなったらすぐに言えよ？」


と言いつつ俺程体調が優れていなさそうな相手＿観音坂独歩に笑って返す
大丈夫、と



良い友人をもったなあ
ありがとう神様





「まっ、そーなんのもしょーがないっしょ！！だって〜」


「…おい、一二三？お前も大分酔って＿」


「ムッちゃん、スマホのホーム画面」


「えっ」


「＿」







＿＿爆発3秒前




少なくとも、その瞬間まで、俺は世界一幸せだという自信があった




それが




ああ




どうして






「『 』だもんなっ！！」



「おい馬鹿一二三いぃぃぃ！！！」

「…えっ……それは…」


「＿＿へ？な、んで…一二三が…それ…」






どうしてこうなった？









＿＿事の発端は4日前に遡る

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す