貫通する思想と胎動 2【御薬袋 涼雅】 ページ23
まさに彼女のような人間が出す威圧感に弱い俺は、馬鹿みたいにこくこく首を振って頷き、彼女についていくことにした。
相棒をちらりと見やると、ヤツはもう寝てしまっていた。
なんだアイツ。心配なんていらないじゃないか。ドアにそっと鍵をかけた。
☆★☆★
彼女は迷うそぶりも見せずに廊下の木製の床の上を、水面をつたうように進んでいく。
床にはかなり年季が入っていて、彼女が一歩踏み出すたびにギシギシと軋む。
もうだいぶ住んでいるのだろうか。
一切の迷いが感じられない彼女の白いワイシャツを見ながら、そんなことをふと思う。
さあて俺はというと静かな廊下を進みながら、ぼんやりと考え事をしていた。
彼女の様子を見て、聞こうかこうか否か若干迷ったが俺は勇気を出して言った。
「あの、なんで俺のとこに?」
「……今日、同い年の人が引っ越してきたと聞いたので」
少しの間があってから、彼女が足を止めたと思うと答えが返って来た。
相も変わらずに威圧感を放っている彼女に若干ビビっているため、声が自然と上擦る。
「そ、そうなんすね!それはどこ情報なんですか?」
「ニュースソースは教えません」
「すみません!ところで、ご趣味は?」
俺は彼女との一問一答を繰り返しているうちに、食堂へと到着した。
食堂にはすでに何人かの住人が集まっていた。
きっと彼らは、厨房から漂うメシの香りにつられたのだろう。まあ、俺もじきにそうなるだろう。
俺は適当に空いていた席に座った。諷さんもその辺の席に腰を下ろす。
晩メシの香りをぼーっとしながら楽しんでいると、賄さんではない灰色の短い髪の女性(と、いっても俺と年が近いと思われる人)が両手に皿を乗っけて持ってきた。
「はーい、今日のごはんでーす」
「おおーっ!」
すとん、と皿が滑るようにテーブルの上に乗った時、食堂のあちこちから歓声が上がった。
晩飯その一は唐揚げだった。
それも、山のように積まれたたくさんの唐揚げ!
こんがりと焼けていて、絶対にご飯に合うというオーラがでてビショビショに滴っている。
先ほど皿を運んできた女性が再び厨房へと引っ込んでいき、再び戻って来た。
次はサーモンマリネ。
上品なピンク色のサーモンに一同が目を輝かせる。
再び歓声が上がった時、バイクを止める音がした。
多分、俺の日常【梨葉 小春】→←貫通する思想と胎動【御薬袋 涼雅】
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雨読(プロフ) - 更新しました!長い間すみません…!次の方どうぞ〜 (2020年7月19日 20時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨読(プロフ) - 更新します。 (2020年7月19日 18時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 更新しました、猫羽ナナシをよろしくおねがいします!! (2020年7月13日 18時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 更新します!!! (2020年7月13日 18時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
あお@期末終わるまで低浮上(プロフ) - 更新しました、何か変な部分があれば指摘してください…! (2020年7月12日 20時) (レス) id: 91f861d85b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨読 x他7人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hurawaxa/
作成日時:2020年7月5日 12時