雷電の翼竜 (ページ32)

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27話ページ32

ダインの件から数日、空はまたモンドに来ていた。

あの後、空が酒場を出て少ししてから一通り泣いたのか涙のあとを頬に残し、ひくひくとしゃくりをあげる一夜が上から降りてきてかなり強い酒をかっくらい、酔いつぶれて眠るということがあったらしい。

街では『旅人と喧嘩でもしたんじゃないか』とか挙句の果てに『旅人に告白して振られたんじゃないか』ということを言う馬鹿者もいたらしく、帰ってきてからジンやガイアなどその日いなかったものからの質問攻め、次に酒場に居たものからの質問攻め、そのまた次に概要をよく知らない者達からの質問攻めに会いヘロヘロになっていた。

パイ「すごいな、さすが風の国……話が広がるのが速い……」

ゲッソリとした顔のパイモンがぼやく。
本当に、と肩を落としていると、居た！という声が聞こえ、上から緑色が降ってきた。

一「良かった、もうモンドに来てくれないのかと……」
パイ「一夜！なあ一夜、オイラたちお前になにかしちゃったのか？だったら謝る、ごめんな？」
一「いや、少しキャパを超えて……連日探し回ったのに挨拶もなしに奴らの拠点に突っ込むなんて……」

と苦虫をかみ潰したような顔をする。
そういえば、とアビスの根城を探している時ダインが言っていた名前を思い出す。

空「ねぇ、一夜って、『ノワール』って人知ってる？」
一「なんで……あ、ダインか？ダインが言ってたのか！？あの金髪！次会ったら絶対にひっぱたいてやるのだよ……」
パイ「もしかして、ノワールってお前か！？」

違う、知り合いだ。と目を伏せ、首を横に振る。
だがなんでその名が？とこちらに向きなおり聞く。

パイ「ダインが、『あいつなら、ノワールならこれくらい簡単に見つけ出すのだが、やつは鼻がいい、それこそ犬のようにすぐ見つけだす。』って言ってたんだ。で、犬なみに鼻がいいなんてどんなやつなんだろうって、どうした？顔ヤバいぞ？」

パイモンの言葉の通り、一夜の顔はかなり恐ろしいことになっていた。
それこそほんで見た、般若のような顔だ。

一「……次ダインにあったら伝えておいてくれ、覚悟しろこの金髪。とね。」

とにこりと笑い指の骨をバキバキっと鳴らした。
その後迷惑をかけた詫びと二人を鹿狩りに連れていき、好きなだけお食べ！と頭を撫でくりまわした。