雷電の翼竜 (ページ24)

今日:6 hit、昨日:20 hit、合計:10,231 hit

19話ページ24

一「……お香臭い。もっと柔らかい匂いのものないのかい？」
『これが儀式のお香です。貴方様のお好きな香りなのでしょう？』
一「いや、この匂いは嫌いな匂いなのだよ。」

とある遺跡の地下に気の抜けたようなコントのような会話が響く。

一「ねぇ、信仰だのなんだのは好きにしてくれていい、クレーとの約束があるんだ。帰っていいか？」
『いえ、貴方様の居場所はここでございます。』
一「いや、オレはスメール生まれ、モンド･璃月育ちの人間だから。」

と結ばれた手をガチャガチャと動かし、拘束から逃げようとする。
が、外れない。ここでバキッとやってもいいのだがそうすると面倒くさいことになりそうな予感がする為やめておく。

一「ふぁあ、届いたかなぁ……」

と呟いているとバァンっ！！と遺跡中に響き渡る爆音。
何かが粉砕した音にも聞こえたが……と少し首をのばして見ると見覚えのある赤髪と青髪が見えた。

あ〜届きはしたけど間に合わなかった感じかな、と的に突っ込んでいく2人を見ていると急に手が自由になった。

パイ「悪い！来るなって言われたんだが2人が……」
一「いや、俺が手紙を出すのが遅かったんだ。」

あの仙術難しいんだよ。と手をヒラヒラ動かすとある程度蹴散らし終わったのか一夜！と呼ぶ声が聞こえた。

一「おいバカ、来るなって言ったよな？」
ディル「……すまない。」
ガイ「一夜のことが心配だったんだよ。急に居なくなったから……」

と顔をしかめる2人を見てうぐぅ……と唸る。
それに便乗するかのようにパイモンも悪かったよ……と上目遣いで一夜を見る。

一「かわっ、うっ、ゆる、許す！許す許す！」

もういいよ！と少し蕩け、にやけ顔で手をぶんぶん振り回す一夜。
次の瞬間その顔が急に真顔になった。