Travis Japanの紅一点

トラジャの涙 ページ10

私は、阿部先輩が帰った後、

一人一人に、連絡した。

『病院に来てください』

そして今日が、メンバーに真実を言う日だ。

メンバーは、義足のことを聞いたら、どんな反応をするだろう。

驚き？悲しみ？

反応が怖かった。

もう、ここにいなくていい、なんて言われたら

どうしよう。


一番最初に来たのは、

ノエルだった。

ノエル「おはよう。これ、お見舞い」

A「ありがとう」

ノエルは、いつも気にかけてくれる。

入院中も、連絡を取っていた。

それから数分後。

海人以外来た。

海人は、少し遅れるらしい。

待っている間、ノエルが持ってきてくれた

お見舞いのお菓子を皆で食べた。


＠中村 海人

Aがもし重い病気だったら？

って思いながら、病院に来た。

実は、病院に来るまでは、

集合時間通りだった。

ただ、聞いちゃったんだ。

看護師さんが話していることを。

看「７０９号室の土屋さん。
　 義足ってかわいそうですよね」

７０９号室…土屋さん…

完全にAを指していた。

それから怖くなった。

もし、トラジャを辞めたいって言ったら？

もう、踊れないって言ったら？

不安と心配と恐怖で、胸がいっぱいになった。

病室のドアから聞こえる、いつものうるさい声。

中で一人暗いとか、無しでしかない。

いつも通りじゃないと、Aも心配しちゃう。

病室に入る一歩が、踏み出せなかった。


＠A

A「今日、海人来れないって」

ちゃか「なんだよ。まぁ、今度僕たちから話せばいっか」

しめ「そうだね」

実は知ってる。

海人は、私の病室まで来ていたこと。

でも、聞いちゃったのかな。

涙が一滴、海人の頬に

流れ落ちた。

海人が知ったなら、言うしかないよね。

A「本題に入るね」

しずや「うん」

A「じ、実はね、骨肉腫って病気なんだ」

まつく「それって、あれ？北斗がやってるやつ」

A「そう、それ。
　 それでね、義足にならないといけないんだ」

この一言で、病室の空気は、静まり返った。

げんた「嘘でしょ」

まつく「元太、一番つらいのは、Aなんだよ」

ちゃか「そうだよ、受け止めなきゃ」

A「それでね、私、トラジャにいていいのかなって…」

ノエル「何で？」

A「トラジャってさ、ダンスが命じゃん。
　 でも、私が義足で踊ってたら、シンクロどころか
　 全然、揃わなくなっちゃう」

皆の頬にも、涙が、一滴、二滴、三滴流れた。

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