キ ス フ レ 【 赤 】

３４キス ページ34

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目の前の彼がペットボトルを振る


とことん変わった人だなと思う
炭酸が苦手だからってそんなに全力で振る奴が何処にいるんだ


……食の趣味というか、私達は真逆だなと思う


『 炭酸苦手なら飲まなきゃいいのに。……それ、多分溢れますよ 』


「 ……開けて 」



頭はいいはずなのにどっか抜けてて、こんなこと言ったら怒られそうだけど

目が離せない というか 、 放っておけない というか


ふらっと消えそうで怖いというか……。


『 はい、どーぞ。……炭酸の抜けたコーラって美味しいんですか？ 』


「 美味しいんじゃない？……俺は好き 」


炭酸が苦手 とか 、 豆類が食べれない とか

意外と子供らしい一面もある


そういうところ、確かに犬っぽい
私には大人な顔ばかり見せるから楽しそうにしてる所なんて滅多に見せてくれない


だからこそもっと気になるのだ
赤羽 莉汰 という人間が



「 あ、ピザ来た。お皿出しといて 」


『 あ、はーい 』


ペタペタ 足音を立てて彼が玄関を開ける


プライベートな音で溢れている
あれ も これ も私の特権なのだ


ただ 欲 を言ってしまえば



私 だ け の特権であって欲しかった



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