6ー4 ページ29
光が答えないでいると、顔を上げて光の顔を見た裕翔。
ほんの少し間が空いて、
「あっ、ごめん！びっくりしたよね…」
この微妙な空気に気づいたみたい。
さっきの真剣な顔から一変、今度は焦ったような顔になった。
「あ、足の方も心配だから…一応診ておきたいなって…つい…」
あたふたする裕翔が面白くて、思わず笑ってしまう。
「何で笑ってるのー」
「ごめん、ごめん。さっきまで真剣な顔だったから」
けらけら笑う俺を見て、不服そうな裕翔に言いわけをすると、
「えー…だって目で確かめないと気になってしょうがないんだよー。もし他に怪我してるところあったら大変でしょ？」
なんて言うもんだから、同じ医者としてこんなこと言うのはどうかと思うけど、ほんと真面目だなぁって思ってしまう。
「だからさ、ちゃんと診せて？光くん」
「え…うん…」
裕翔のあまりに真面目な表情に、光も嫌とは言えないようだ。
しばらくすると「大丈夫みたいだね」と言った裕翔。
大ちゃんが足元まで移動して、寝たままの光にズボンを履かせてあげている。
俺は、右手の処置に必要なガーゼや薬を用意しようとその場を離れた。
戻ってくると光は起き上がっていて、楽しそうに話す３人。
「ちょっとー、何の話ー？」
と言いながら持ってきたものをソファの前にあるテーブルに置く。
「いや、それがさぁ…」
と大ちゃんが話し始めると予想以上に盛り上がってしまった。
ひとしきり笑って、光の手のことを思い出す。
いや、忘れてはないよ？
やけどって結構冷やさないといけないから、待ってただけ。
決して忘れてはいない。うん。
「光、手処置しとこっか。ちょっと診せてな」
そう言って洗面器に浸かりっぱなしだった手を出そうとすると、力を入れて洗面器から出してくれない光。
「大丈夫…もう痛くないから」
と頑なに出そうとしない光に、やっぱりか…って思ってしまう(笑)
光は怪我しているところは簡単には診せてはくれない。たぶん、処置が痛いかもと恐れているから(笑)
「痛くなくても処置しないのはダメー」
ちょっと強引に手を引っ張りあげて、光の膝に置いたタオルの上に手を乗せる。
「ちょっと頑張ろ、光くん。」
裕翔が光の右手が動かないように右腕をがっちり抑えた。
ちなみに、左手は大ちゃんが握ってくれている。
「ん〜…んっ、いいっ…」
抵抗出来なくなった光は、あっという間に目から涙をこぼす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 76人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TT(プロフ) - ♪尾曲がりニャンコ♪さん» ご意見ありがとうございます。応援、励みになります♪ (2017年3月4日 10時) (
レス) id: a5409a49a2 (このIDを非表示/違反報告)
♪尾曲がりニャンコ♪(プロフ) - 作者さんが分かりやすく書いてくれてるので、今のままで大丈夫だと思います！更新ファイトです！ (2017年3月3日 11時) (レス) id: 79d67a7ed9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：TT | 作成日時：2017年2月25日 0時
