【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

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脳内の地図を頭に巡らせ、自分のいる場所を探しながら、ふよふよとスクーターを進めて移動する。ウイルスは既にいない。燕青が何かないものか、と質素な空間を見渡せば、青い髪の少女と目が合った。どうやら、彼女もマザーバンクへと向かう模様。

｢お疲れ様、貴方も勝ったのね｣

｢……君も、勝てたんだね｣

｢何なのよ、その言い方！まるで私が負けてたかもしれないみたいに！！｣

｢いや、そんなことは思ってない…。というか…、さっきはありがとう。礼を言う…｣

あ！お！い！ちゃ！ん！！燕青が顔には出さずに、脳内の声をかけ巡らせる。平然を装っているが、内心はどったんばったん大騒ぎどころじゃない。いらぬ考えを脳裏によぎらせながら、彼女へとお礼を口にすれば、彼女が赤く頬を染めた。可愛い。人気なネットアイドルなだけあって、燕青は周りが惚れる理由もわかるなぁ、とごちった。まぁ、中の人も可愛いんですけどね。

｢君、スクーターは？｣

｢えっ？無いけど…｣

｢ん｣

｢えっ、えっ！？｣

燕青がブルーエンジェルに手を差し出す。流石にこれ無しだと、行きたい方向はズレるわ、足は疲れるわ。何かあった時、バランス崩すわで三重苦だ。燕青が、ブルーエンジェルが顔を赤く染めて戸惑っている理由がわからず、ぱくぱくと口を開けてこちらを指さしている、彼女の手を取った。

｢な、なっ！？｣

｢ん？｣

｢っ〜！！しょ、しょうがないから今だけ繋がせてあげるわ！｣

｢うーん、ありがとう？｣

｢っっ〜〜！！！｣

顔を真っ赤にして、反対方向を向くブルーエンジェル。もしかして、手を握るのが恥ずかしい？燕青が余計な事をしてしまったかもしれない、と頭を悩ませる横。ブルーエンジェルは火照った頬を冷ますように、空いた手で顔を扇ぐ。

言えるわけがない。

デュエルをしている時の彼の横顔に惚れてしまっただなんて。

ブルーエンジェルがチラッと隣を見ると、凛々しい横顔が目に映る。彼の雰囲気が憧れの先輩に似ていて、ブルーエンジェルはさらに顔を真っ赤にさせた。

会いたいな、A先輩。

隣にいる彼に、面影を重ねて寂しさを閉じ込める。





まあ、隣にいるのがA先輩なんですけどね。


ブルーエンジェルは何も気づかず、ただ握られた手を握り返した。

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