遠くの街としあわせと・・３(ＪＵMＰｘＪＵMＰ)街シリーズ(３)

＝しゃらしゃら・３＝ ページ40

「ふぅ〜〜〜。」


机に置かれた、薄ピンク色のグラスを見つめて

「あ。このピンク、
　侑李に似合いそうだなぁ・・。」

って、つぶやく、おれ。



つぶやいて、侑李を想って

ドキドキ。ドキドキ。

おれの体の中に、活きのいい魚が入ったみたい。

おれの胸ら辺、魚が・・ビチビチ、動いてる。


「ちゅー。ちゅー。ちゅー。」

口を尖らして、また言ってみる。



「・・ねぇ、しーちゃん。
　おれさぁ、今日。侑李の事、圭人と２人で
　抱き締めたんだ。何て言えばいいのかなぁ。
　あの時の気持ち・・いつまでも、ずーっと
　こうしてたいって思たんだよ。
　しあわせだ。って思った＿＿＿＿。
　しーちゃん、おれ・・しあわせだよ。」





机の前の窓に吊るしてある

父ちゃんが作ってくれたモビール。



モビールのオレンジ色の太陽が

窓を開けてないのに、しゃらしゃらと揺れた。



「ふふ。しーちゃんは・・おれがしあわせだと
　嬉しいって言ってくれるんだ。
　ありがと〜、しーちゃん＿＿＿＿。」



モビールを見つめて

おれはつぶやく。

「ちゅー。って・・抱きしめ合うって
　素敵なことだね・・。」




もう一度、モビールの太陽が

しゃらりと揺れ、フワリとおれの背中に

風が通って、髪の毛がフワッと揺れた。



「へへっ。
　しーちゃん、おれを抱き締めてくれるんだ。
　ああ・・やっぱりしあわせだよ、とっても。」



柔らかい風が、

そっとオデコを撫でる。



「あ〜〜、どうしよう、しーちゃんっ。
　明日、侑李にどんな顔して逢えばいいのかな？
　う〜〜。また考えてたらドキドキしてきたっっ。」



柔らかい風が、耳を撫でて

フワフワとモミアゲを揺らす。




「そっか。そーだねっ。
　いつものおれで、笑顔でいようっ。
　そーだ、そうしよう！！ありがと、しーちゃんっ。
　あ〜〜〜、でも・・ドキドキだっ。」




おれは、いつもの様に元気に二カッと笑って

「よしっ、明日の準備だっ。」


ランドセルに明日の時間割りを入れて


おれは、グラスをグッと持って

ゴクゴクと、イチゴ牛乳を飲み


「ぷっっはぁぁ〜〜〜っっ。」


グイッと口を拭って、気合の一言。




「よ〜〜〜しっ。明日も笑顔で頑張るぞっっ。
　また、侑李にちゅー。してもらえる様にっ
　おれ、べんきょー頑張るっ。ね、しーちゃんっ。」





しゃらしゃらと笑う様に

モビールの太陽が優しく揺れた＿＿＿＿＿。





＝おわり＝

おまけ『じぃじの気持ち。』＝ぅーん・１＝→←＝しゃらしゃら・２＝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す