遠くの街としあわせと・・３(ＪＵMＰｘＪＵMＰ)街シリーズ(３)

＝ラブラブ・２２＝ ページ22

「はい＿＿。」


俺は作業の手を止めて

お父さんを真っ直ぐと見つめて

「慧が、俺の傍に居てくれている。
　だから、俺も離れずに、ずっと傍に居ようって・・。
　ふふ。俺、慧が傍に居てくれないと不安なんですよ。
　だから、２人で補い合って、分かち合って、支え合って
　侑李をこの街で育ててます。・・ふふ。」


「その・・２人の愛がこもった侑李は
　優しい良い子だな。雄也くんにそっくりだ。
　慧の事をよく見て、支えてくれている。」


「はいっ。侑李は俺達の＿＿
　大切な可愛い天使ですから。」


「ふふ＿＿。
　まぁ、じぃじ。・・私の可愛い
　可愛ーい大切な天使でもあるけれどな。」


「そうですね、本当に。
　・・何だか弱ってる時に限って
　見透かされてるのかな・・。
　侑李は、涙が出てしまいそうな事
　言うんですよ・・。あの可愛らしい
　無垢な笑顔で・・。ふふ・・あっ。
　ぬいぐるみの話し、慧から聞きましたか？」

「ああ、聞いたよ。
　・・本当に優しい子だなぁ。
　本当は、背中に白い羽根が
　生えてるんじゃないか？
　ふふふ。あの可愛らしい
　無垢な笑顔と羽根で＿＿＿
　本当に侑李は、天使だなぁ・・。」



お父さんは、目を細めて嬉しそうに笑って

それから、遠くを見つめ

寂し気な目をして

「ふぅ・・。」と、少し震えた息を吐いた。



「私はね・・雄也くん。」


「何ですか、お父さん。」


「私は今でも・・後悔してるんだ。」


「後悔・・？」


「慧が中学生になって少ししてから・・
　あの可愛らしい天使の様な容姿のせいで＿＿＿
　クラスの女子から酷いいじめを受けて・・。」


「・・ええ。」


「慧に彼氏を寝取られたとか、体を・・
　売ってるだとか・・。ありもしない
　噂を立てられて。陰湿ないじめを受けて。」


お父さんは俯き、ギュッと拳を握って


「私は、あの子が苦しくて苦しくて・・辛い時に
　一緒に居てやれなかったっ。いや＿＿違う。
　居てやらなかったんだっ。
　慧が侑李ぐらいの時には、強く強く抱き締めて
　慰め・・元気づけてやっていたのに・・。
　私は、忙しさにかまけて、慧を見てやらなかった。
　見て見ぬふりをしたんだ。」


「お父さん・・。」


「慧には、寂しい思いをたくさんさせた。
　母親が居ない分、私と慧の兄、雅紀とで
　寂しくない様にってしてきたつもりだった。
　でも・・私は仕事に、雅紀はその時大学生で
　とても忙しくて＿＿＿＿＿。」

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